アイアス - Aias -

サラミス王テラモンとペソボミアの子
名前の意味は鷲。
ペソボミアに子が宿ったと聞いたヘラクレスは、産まれてくる子が強い子であるようにゼウスに祈った。その時テラモンは天高くに舞う鷲を目にし、鷲であるアイエトスからアイアスと名付けた。アキレウスが命を落とした時、アイアスは遺体をギリシアに運んだ。 後に、アキレウスが身につけていたヘパイストスの鎧を巡り論争が起きたが、最後にオデュッセウスの手に渡った。
アイアスは納得せずにオデュッセウスを殺害しようと計画する。
しかし、 天界より様子を見ていたアテナによって気を狂わされ、羊の群を殺害してしまう。 気が戻ったアイアスは余りにもの自分の愚かさに恥じ剣で自害した。 彼が流した血からはアイリスの花が咲いたといわれている。

アイアコス - Aeacus -

孤独な王
ゼウスと川の妖精アイギナの子
ゼウスは鷲となりアイギナをさらって行った。
アイギナの夫は鷲を追いかけますが途中、雷により落命してしまう。
アイギナは島(後のアイギナ島)にてアイアコスを生んだが、 その地にアイアコス一人を置きアイギナは去って行った。 アイアコスはゼウスに、島に人を住まわすように祈ると、 ゼウスは願いを聞き入れ、蟻を人間(ミュルミドン人)に変えた。
死後はミノスラダマンテュウスと共に死者を裁く冥界の裁判官となった。 エンディスとの間にペレウス(アキレウスの父)とテラモン(アイアスの父)をもうけた。 プサマテとの間にはポコスを得た。

アイエテス - Aeetes -

ヘリオスとペルセイスの子
コルキスの国王
残忍にして無情な人物
プリクソスが金毛の羊に乗ってアイエテスの元に辿り着く。
アイエテスはゼウスの命を受け、プリクソスを手厚くもてなし、 娘であるカルキオペを妻として与えた。
ところが、ギリシア人の手によって殺されると言う神託を受けた彼はプリクソスを殺害し、 金毛の羊は皮を剥ぎアレスの森に釘付けにして火を吹く竜に守らせた。
アテナより贈られた船アルゴー号の船長にしてイオルコス国王イアソンは金羊毛皮を求めてアイエテスの館をうかがうが、アイエテスはイアソン達が国を奪いに来たと思い、試練を成したら渡そうと言った。 その試練とはアレスより贈られた火炎を吹く二匹の牡牛にくびきを付け大地を耕し、 その後で、アレスの泉の竜の歯を蒔き、 そこから誕生した兵士達を退治しろというものであった。
困っていたイアソンの前にアフロディテによって恋心を吹き込まれたアイエテスの娘メディアが来て、 竜の炎で焼けつく事の無い魔法の香油を渡し、兵士達との戦い方を授けた。 こうして試練に勝ったイアソンではあったがアイエテスは約束を破る。 メディアは結婚を条件にイアソンに金羊毛皮の場所を教え二人して盗み出し、 弟アプシュルメスを同伴し国から逃げ出した。
国王は子たちが誘拐されたと思い追いかけた。 メディアは追いつかれそうなので弟をアイエテスの船団の目の前でばらばらに殺し海上にばらまいた。 アイエテスが肉片を拾い集めている間にイアソン達は逃亡に成功したといわれている。

アイオロス - Aeolus -

ヒッポテスの息子
妻は、リバロスの娘キュアネ。
動くもの、色取り取りのものを意味する風の支配神。
元来は星辰アストライオス同様の星空の神との説がある。
青銅の塀で囲んだ岸壁を有する漂流島アイオリア国王。6男6女の子と暮らす。彼は人間だったが、ゼウスに愛され風を司る力を与えられ、風の支配者になった。洞窟の中に風をたくわえ、意のままに風を操った。風を洞窟に閉じ込めゼウスの命令の際に風を解放する。

オデュッセウス一行が故郷に帰る際に、この島に立ち寄り、アイオロスに出逢った。
一ヶ月の歓待の後、西風であるゼピュロス以外の帆をはためかす順風を袋に積め贈ったが、 財宝と勘違いしたオデュッセウス配下が封を開け、故郷目前にしてアイオリアに吹き戻されてきたため、 恐縮するオデュッセウス一行が神に祟られていると悟り、追い出した。

ヘレンとオルセイスの子
兄弟に、クストス、ドロス。3兄弟は、父であるヘレンからギリシアを三分割して与えられた。アイオロスはテッサリアを支配し、アイオロス人の祖となった。エナレテと結婚し、息子達、シシュポス、クレテウス、アタマス、サルモネウス、デイオン、マグネス、ペリエレス、マカレウス。娘達、カナケ、アルキュオネ、ペイシディケ、カリュケ、クレオブレ、ペリメデを生んだ。
彼の息子達は、それぞれギリシアの都市の王となった。

ポセイドンとメラニッペの息子
ボイオトスの兄弟。

アイオーン - Aion -

全ての創造の源泉である混沌空虚のカオスから生まれた最初の神の1人。時を刻み続ける永劫の神であり、物語を記録し続ける絶対中立の立場を誇示している。
アイガイオン - Aigaion -

大地母神ガイアと天空神ウラノスの子。百もの腕を持つ3人の巨人ヘカトンケイル達のひとり。
アイギアレ - Aigiale -

ヘリオスとクリュメネの7人の娘達のひとり。
アイギアレウス - Aigialeus -

イナコスの息子

アドラストスの息子
エピゴノイがテバイを攻めたとき戦死した。

アイギストス - Aegisthus -


父テュエステスと娘ペロピアとの間の子
テュエステスは兄弟の手によって我が子を殺害されてしまう。
復讐を誓った彼は、我が実娘との子が復讐を叶えると神託を受けた。
そこで娘ペロピアを犯しアイギストスをもうけるが、後にペロピアは自害してしまう。
テュエステスとアイギストスは共にミュケナイを治めていたが、アガメムノンによって地を追われた。
後にミュケナイに戻ってきたアイギストスは、アガメムノンの妻クリュタイムネストラと策謀して、 アガメムノンとカサンドラを殺害しますが、 アガメムノンの子オレステスによってアイギストスは殺害された。

アイギナ - Aegina -

アソポスの河神とメトペとの間の子
アイアコスの母
ゼウスは鷲となりアイギナをさらった。 アイギナの夫は鷲を追いかけるが途中、雷により落命する。 アイギナは島(後のアイギナ島)にてアイアコスを生むが,その地にアイアコス一人を置去りにした。 アイアコスはゼウスに島に人を住まわすように祈ると、ゼウスは蟻を人間(ミュルミドン人)に変えた。

アイギパン - Aegipan -

パン と同一人物
アイギュプトス - Aegyptus -

ベロスの息子。ダナオスは双子の兄弟。
ベロスはアフリカに広大な領地を持ち、アイギュプトスとダナオスにアラビアとリビュアを与えて統治させていた。やがて、アイギュプトスは独自に領地を拡大し始める。メラポテスを征服し、自分の名前を取って「エジプト」と名付けた。
ダナオスは、自分の命まで狙うアイギュプトスから逃れるためにアルゴスに亡命した。領土の利権を獲得するために、アイギュプトスはダナオスの娘50人を自分の息子達と結婚するように要求した。ダナオスは頷くしかなかったが、自分の娘達にある秘策を授ける。一人一人に短剣を持たせ、結婚式の夜に夫を殺害するように命じたのだ。
その策は成功し、アイギュプトスの息子達は殺された。しかし、ただ一人リュンケウスだけが生き残った。

アイグレー - Aigle -

ヘリオスとネアイラの間に生まれた3人娘のひとり。ヘリオスが飼っていた羊や牛の世話をして暮らしたという。
アイゲウス - Aegeus -

パンディオンとピュリアの息子
テセウスの父
テセウスがミノタウロス退治に出かける際に、テセウスは自分が生きて帰るときは、今張ってある黒い帆を白い帆に変えて戻ると約束して出航したが、ミノタウロス退治に成功した彼は帆を変えるのを忘れてしまい、その為に アイゲウスは息子が死んだと思い、段崖から身を投げてしまう。

後にアイゲウスが身投げした海は、エーゲ(Aegean)海と名付けられた。

別説でアイゲウスはポセイドンの分身とも言われている。 故に時としてテセウスは自分をポセイドンの子と名乗る時もある。

アイサコス - Aesacus -

プリアモス王とニンフのアレクシロエの子
川の畔にいたニンフのスペイアに恋をしたアイサコスは彼女を追いかけるが、彼女は逃げる途中に蛇に噛まれて死んでしまった。
アイサコスは悲しみ自らも死のうと海に身を投げる。天界より様子を見ていたテティスは彼を海鳥に変えたといわれている。

アイソン - Aeson -

イオルコス王クレテウスとテュロの子。兄弟は、ペレス、アミュタオン。
王位継承者であったが、ポセイドンとテュロの子であるペリアスに王位を奪われてしまった。
身の危険を感じたアイソンは、ピュラコス(アルキメデとも)との間にもうけた子イアソンケイロンに預ける。

成人となったイアソンはケイロンから己の出生を知りイオルコス国に行くが、ペリアスから空飛ぶ黄金の羊の毛皮を取ってくるように難題を受ける。ペリアスはイアソンが二度と戻っては来ないだろうと考え、アイソンに毒を盛り殺害し王位を奪った。

メディアの魔法によって、アイソンは後に生き返る。

アイテール - Aither -

名は、アイトー「燃える、輝く、光る」を意味する。 天空の光輝く部分を擬人化、また大地・天・海など自然現象の怒りを司っている崇高な男神。 エレボスニュクスの間に生まれた光明の気の神。

ガイアと交わり、神罰を犯した者が落ちる深淵・奈落の神タルタロスと生物の存在しない不毛の海神ポントスの父となった。

かつて宇宙に充満していると信じられたエーテルの語源。

アイテリエー - Aitherie -

ヘリオスとクリュメネの7人の娘達のひとり。
アイドス

慈悲の女神。アストレイアの妹
アイトーン - Aithon -

燃え盛る馬。西風神ゼピュロス(Zephyros)とハルピュイア(Harpuia)のひとりポダルゲー(Podarge)の間に生まれた神馬で、ヘリオスが、地上に光を与える日輪の戦車を引く4頭の神馬の1頭。
アイトゥサ - Aethusa -

ポセイドンとアルキュオネの娘。
アポロンとの間に、ヒュリエウス、ヒュペレノルを生んだ。

アイネアス/アイネイアス - Aeneas/Aineias -

トロイ王家一族のアンキセスとアフロディテの子。トロイアの王子。

トロイ軍では英雄ヘクトルに次ぐ勇士。アフロディテはアイネアスがいつかトロイアに君臨し、その治世は永遠に続くと予言した。

ヘクトルを討たれたトロイ軍は、戦意が落ち城門を閉め篭城作戦にでる。攻めあぐねたギリシャ軍は、オデュッセウスを中心にある策略を考える。トロイの守り神知恵の女神アテナの木像パラディオンを盗み出し大きな木馬をつくり、中に50人の屈強な勇士を偲ばせたままで、陣地を焼き払い引き上げる偽装工作をしたのだった。トロイ軍はギリシャ軍が立ち去ったと想い喜び勇み木馬を戦利品として城内に運び込みその夜、大祝勝会をしてしまった。城兵が酔いつぶれ眠りこけた頃、木馬から出た50人の勇士は城内から城門を開け引き上げたはずのギリシャ軍を導き入れ無防備のトロイ軍に襲い掛かる。成す術のないトロイ軍は屍の山を築くだけだった。老王プリアモスは殺され、ヘクトルの幼子アステュアナプスは城壁から投げ落とされ、妻のアンドロマケは自ら身を投じ死んでしまった。
この時、木馬を城内に運び込むのを、ギリシャ軍の策略だとして真っ先に反対したのがプリアモス王の娘カサンドラだった。何故信じて貰えなかったんだろう ... 予言者カサンドラの悲しい運命。
一方、アイネイアスは最期までギリシャ軍と戦おうとするが、愛と美の女神アフロディテとヘクトルの亡霊に諭され父アンキセスと息子を連れイダ山に逃れ、そこで船を造り独自の国を作るため出帆した。途中カルタゴの女王ティドの歓待を受け滞在するが、伝令神ヘルメスがゼウス神の使いで「イタリアに向け出発せよ!」の命令には逆らえない。密かにカルタゴを出発する。こうしてアイネイアスは地中海を通り抜け、戦いを繰り返しながらも、遂にはイタリアへたどりつき、ラティニの王女ラウィニアと結婚し、ローマ建国の祖となった。

アウクソ - Auxo -

成長する女・大きくする神女 の意。
*ホーライカリテス参照

アウゲ - Auge -

アレオスとネアイラの娘。女神の神殿に仕える処女の巫女になったが、アレオスの城に訪れたヘラクレスによって犯されてしまう。その間に生まれたのが、テレポスである。それを知ったアレオスは、テレポスをパルテノン山中に捨てさせ、アウゲを奴隷として売られ、テウトラス王の妻となった。

後に、成長したテレポスで出会い、二人は結婚しそうになるが、ヘラクレスに真相を聞かされ、二人は故郷アルカディアへと向かった。

アウゲイアス - Augeas -

ヘリオス、もしくはポセイドン、ポルバスの息子。兄弟に、アクトル。アルゴナウテスの一人で、エリスの王。息子に、ピュレウス。娘に、アガメデ。莫大な家畜を養っており、その家畜小屋の掃除が、ヘラクレスの5番目の難行だった。

ヘラクレスは、難行を1日で終えたら、家畜の10分の1を貰う約束だったが、そのバックにエウリュステウスがいると知ったアウゲイアスは、その約束を反故にした。数年後、怒ったヘラクレスはエリスの国を攻め、アウゲイアスを殺してしまった。

トロポニオスとアガメデスが、彼の宮殿に窃盗目的で忍び込むという事件も起こっている。

アウテシオン - Autesion -

テバイの王。ティサメノスの息子であり、ポリュネイケスの孫。ライオスとオイディプスの亡霊に脅かされ、神託を受けてテバイを去る事になった。息子に、テラス。娘にアルゲイア。
アウトリュコス - Autolycus -

ヘルメスとキオネの息子
アポロンとキオネの息子であるピラムモンとは兄弟。アムピテアと結婚し、アンティクレイアという娘を生んだ。アウトリュコスはヘルメスを信奉し、盗んだ物の姿や形を変える能力を授けられた。嘘と盗みの達人である。

エウリュトスの牝馬であり。シシュポスの家畜であるアミュントルの武器庫に盗みに入り様々な物を盗んだが、ヘラクレスが犯人と疑われたので難を逃れている。しかし、シシュポスには徹底的に疑われ、遂に罪を白状した。その償いに、アウトリュコスは娘のアンティクレイアを一晩シシュポスに差し出さなければならなかった。

アンティクレイアはラエルテスと結婚するのだが、産まれてきた子供はシシュポスの子ではないかと疑われた。アウトリュコスは、その産まれてきた子供にオデュッセウスと名付けた。それは「憎しみの犠牲」という意味である。

テッサリア、デイマコスの息子
兄弟に、プロギオス、デイレオン。兄弟と共に、ヘラクレスのアマゾン攻略を助けた。後に、小アジアのシノペに定着し、アルゴナウテス達を手助けした。

アカストス - Acastus -

ペリアスとアナクシビアの息子。イオルコスの王。アルゴ船の冒険、カリュドンの猪狩りに参加する。アステュダメイア(又はヒッポリュテ)と結婚し、ラオダメイア、ステロペ、ステネレという3人の娘を生んだ。

ペレウスが助けを求めに国を訪れたとき、アカストスは彼の罪を清めてやった。しかし、アステュダメイアがペレウスを誘惑し断られると、逆に彼に誘惑されたとアカストスに密告した。激怒したアカストスは、ペレウスの武器を奪い、ケンタウロスの住む山中に追い出した。

だが、ペレウスは生き残り、イアソンらとイオルコスを攻め、アカストスとアステュダメイアを殺したという。

アガメデス - Agamedes -

エルギノスの息子。アポロンの子であるともいわれる。兄弟に、トロポニオス。二人は優れた建築家だった。アルクメネの新婚の部屋、ポセイドンの神殿、アポロンの神殿など、数々の神々の宮殿を建てた。

アガメデスは、進入したアウゲイアスの宮殿で罠にかかり、証拠が残るのを恐れたトロポニオスによって殺されている。

アガメムノン - Agamemnon -

トロイ戦争のギリシャ軍の総大将。名門ペロプス家の子孫でミュケナイ国の王。

ヘレネ奪還のためアウルスの港に1000艘以上の船が集結しているしかし10万の兵の志気は挙がれど無風状態が何日も続き船を出すことが出来ない。占いによるとアガメムノンが狩りの自慢をしたばっかりに月の女神アルテミスの怒りを受けているのだという。解くためには長女のイフィゲネイアを犠牲に捧げるようにとでた。やむおえず娘をアキレウスと結婚させると偽りアウリスに呼び殺した。これが後々大変な悲劇を生む...。そして風が吹き出し全軍トロイに向け出港することができ、総大将として威厳を持って指揮を取った。彼は立派な指揮官ではあったが傲慢なところもあり、しばしば勇士アキレウスや弟メネラオスと意見が衝突していた。

戦争は10年もの長い戦いになりギリシャ軍の勝利で無事故郷に凱旋してきた。この戦場の勇士が凱旋した当日に妻のクリュタイムネストラと浮気 相手の謀略によって刺し殺される。呪われた一家の悲劇的な運命に左右された人物。

ペロプスの父は、地獄に落され永遠の責苦にあっているタンタロス。アガメムノンの子はイフィゲネイア、エレクトラ、オレステス

アキレウス - Achileus -

テティスは、アキレウスが人間との子であるため死んでしまうのを悲しみ、アキレウスを不死身にしようとした。そこで冥界を流れるステュクス河の水に浸した。しかしこの時テティスはアキレウスの踵の部分を握っていたため、そこだけ不死身とはなれず人間のままだった。これがアキレス腱。

その後トロイア戦争でギリシャ軍に参戦し鬼神の如き戦いを見せるが、唯一の弱点である踵をパリスの放った毒矢に撃ち抜かれて死んでしまった。

*パリスの審判とトロイア戦争 参照

アクタイオン - ΑΚΤΑΙΩΝ,Aktaion,Actaeon -

 アリスタイオスとアウトノエの息子アクタイオンは、上半身は人間で下半身が馬の相貌をしているケンタウロスのケイロンによって教育を受け、有能な狩人となった。

 ある暑い夏の日、彼は仲間と猟犬を具して、山に分け入って狩りをしていた。
 正午ごろになると、彼らは今日の狩りはこれまでにしようと話し合って別れた。
 アクタイオンは独り、渇きを癒すために水を探して森の奥へ分け入っていくと、辺りは糸杉が生えた谷になっていた。奥には自然にできた洞穴があり、いっぱいに澄んだ水を湛えた泉があるのを彼は見た。
 アクタイオンはすぐに泉に近寄るが、そこは女神アルテミスが疲れた体を休めに来る場所だった。そのときも、女神はちょうどニンフたちを連れてそこに来ていて、狩りの槍と箙、弓矢、上着に靴をお供のニンフたちに預け、水際に立って髪をくしけずらせていた。そのとき、洞穴の入り口の辺りにさまよってきた男の姿が見え、アクタイオンが覗き込んでくるとニンフたちはこの神域への闖入者に叫び声をあげ裸身のアルテミスをかばおうと寄り集まる。しかし女神の背丈はニンフたちより頭ひとつ以上高く、顔と肩はあらわになったままだった。アルテミスは稲妻が出るかと思うばかりの目で、無礼にも我を忘れて女神の姿に見入っているアクタイオンをねめつけ、泉の水を汲むと、思い切り彼の頭上から投げ放った。
 すると彼の頭には2本の角が生え、耳はとがって毛が生え、手はひづめのついた獣の前足に変じ、肌は全身毛に覆われてまだら模様、アクタイオンは鹿の姿に変えられてしまっていた。姿ばかりではなかった。ケイロンのもとで狩りを覚えて山野を走り回っていた彼も、狩られる側の今は葉擦れの音も足音も恐れ脅えていなくてはならなくなってしまったのだ。泉を逃げ出すと、おそるおそる川面に自分の姿を映してみた。川の見せていた影は、やはり木の枝のような角をつけてこちらを見返していたのだった。
 落胆している彼のもとに、連れてきていた猟犬が駆け寄ってくる。だが犬はアクタイオンに駆け寄ってきたのではなく、獲物の鹿を目指して向かってきたのだ。彼は逃げ回ったが、最期は自分の犬たちに引き裂かれるという哀れなものだった。(自分の姿を嘆き、川に飛び込んだとの説も)

 この時お供をしていた猟犬が小犬座になったといわれている。

アクトル - Actor -

アウゲイアスの兄弟
モリオネと結婚し、双子の娘を生んだ。

デイオンの息子
イロス、メノイティオス、エケクレスを生む。

プティアの王
後に、ペレウスに王位を譲る。一説には息子にイロス、もしくはエウリュティオン。

アグライア - Aglaia -

輝きの女神。ヒュプノスとの間に、造形者モルペウス・威嚇者ポベトール・仮像者パンタソス・夢神オネイロス・幻夢イケロス・淫夢インクボー・悪夢インクブスら男神7柱をもうけた。

エウプロシュネタレイアと共に 饗宴と舞踊と、その他社交上の全ての快楽や、高雅な芸術を司る ' 美の3女神 ' カリスの1人。

マンティネウスの娘
アバスと結婚し、双子のアクリシオスとプロイトス、娘のイドメネを生む。

アグラウロス - Aglaurus,Agraulus -

ケクロプスと、同名の母親アグラウロスとの間に生まれた娘
姉妹に、パンドロソス、ヘルセ。兄弟に、エリュシクトン。アレスと交わり、アルキッペを生んだ。
姉妹は、アテナから赤ん坊が入った箱を預かるが、けして開けてはならないという約束を破り、アグラウロスとヘルセは箱の中を見てしまう。そこには、蛇が体に巻き付いた赤ん坊のエリクトニオスがいたのである。タブーを犯してしまった二人は、アクロポリスの山頂から身を投げたが、命を落とすことはなかった。
その後、ヘルメスがヘルセに恋をしたとき、彼女はその仲介を頼まれる。しかし、それを知ったアテナは、アグラウロスを邪魔し彼女がヘルメスに逆らうように仕向けた。怒ったヘルメスは、彼女を石に変えてしまったのである。

アテナイ初代王アクタイオンの娘
ケクロプスと結婚し、エリュシクトンという息子。パンドロソス、アグラウロス、ヘルセという娘を生んだ。アグラウロスは同名の娘である。

アグリオス - Agrius -

オデュッセウスとキルケの息子

ポルテウスとエウリュテの息子
メレアグロスの死後、カリュドンの王位についた。その後、テッデウスの息子達に王位を奪い返される。

アクリシオス - Acrisius -

アバスとアグライアの息子
双子の兄弟に、プロイトス。妹にイドメネがいる。二人は王位を争い、アクリシオスはプロイトスを国外に追放した。アルゴスの王となる。
エウリュディケと結婚しダナエを生む。息子が欲しかった彼は、託宣を受けるが、その結果はダナエの息子に殺されるというものだった。それを恐れたアクリシオスは、青銅の塔にダナエを幽閉するが、黄金の雨となったゼウス が彼女と関係し、ペルセウスが生まれたのである。
後に、アクリシオスはペルセウスの投げた円盤で命を落とす。

ラエルテスの父親。ケパレニアの王

アゲイル

エウロペの母
アゲノル - Agenor -

ポセイドンとリビュエの息子
ベロスとは双子の兄弟。テレパッサとの間に、エウロペ、カドモス、ポイニクス、キリクスを生む。一説によれば、タソスとピネウスもその子供である。
ゼウスが、アゲノルの娘エウロペを誘拐した時、彼は自分の妻と息子達に、命をかけてその行方を探させた。しかし、妻と息子は一人も帰っては来なかった。カドモスはギリシアのテバイを創建し、ポイニクスはリビア、キリクスはギリシアに定住した。

トロイア戦争で活躍したアンテノルの息子
アキレウスがスカイアイ門を襲撃した際、アゲノルはトロイア人を救うためにアキレウスに立ち向かった。アポロンは彼を守護し、アゲノルの姿に変化して、アキレウスの目をくらました。

アイトリア、プレウロンの王
エピカステと結婚し、テスティオスを生む。

アケローン - Acheron -

大地母神ガイアの子。冥界を流れる河
アケロオス - Achelous -

オケアノスとテテュスの息子。ギリシア北西部にある、アケオロス河の河神。ヘラクレスと、美女デイアネイラを巡って競い合い、破れた。毎年春になると、その怒りを思い出し洪水を起こすという。

カリロエの父であるともいわれる。

アスカラポス

古代ギリシア人の考えた不吉な鳥。「みみずく」ともいう。もともと冥界の妖精と冥府の河神アケロンとのあいだにできた少年だった。ある日、暗い森の中で遊んでいたとき、豊穣の女神ケレス(デメテル)の娘、プロセルピナ(ペルセポネー)がつまみ食いをしているのを見て告げ口をした。冥界の女王(ペルセポネー)は怒って、少年を鳥に変えた。大きな嘴と、大きな目玉を持ち、黄褐色の翼に包まれ、頭が肥えふとっていて、長い爪が曲がっている。翼を動かす事はほとんどなく、じっと枝にとまり、来たるべき不幸を先触れする。
アスクレピオス/アスクレーピアオス - Asclepius -

アポロンの息子
医術の守護神でありハデスから死者を連れ帰る事さえ出来る神。
アポロンは湖の妖精であるコロニスと結ばた。
ところがコロニスが人間と密会をしていた事に怒ったアポロンは、アルテミスに彼女を殺させた。
湖の妖精である彼女を火葬にしている際、お腹の中からこの神が誕生した。
ケンタウロスのケイロンに預けられたアスクレピオスは、ケイロンから医術等を教わり、死から人間を救う術を覚える。
しかしゼウスは、アスクレピオスが人間達を不死にしてしまうのを恐れ雷で殺してしまい、アスクレピオスはへび使い座となった。

アスクレピオスが持つ、一匹のヘビがからみついている杖カドゥケウスは、医療関係のシンボル、アメリカ軍医療関係の紋章となっている。

アステュダメイア - Astydamia -

クレテウス、ペロプス、アミュントルの娘。混同される。ポセイドンとの間に、アンカイオスを生む。(アカストスの妻説も)

ペレウスに迫るが相手にされず、犯されたと夫に嘘を付いて。彼に復讐した。ペレウスはアカストスに殺されそうになるが、ケイロンに助けられる。アカストスは仲間を連れて戻り、アステュダメイアを殺した。

アステリア - Asteria -

コイオスポイベの子。ペルセスと結婚し、ヘカテを生んだ。その名は「星座」を意味している。

ギリシアのデロス島誕生説話によれば、ある時、美しいアステリアをゼウスに追いかけられた。 逃げ切れないと感じた彼女は、うずらの姿に体を変え、海の中に飛び込んでしまう。そこから浮かび上がった来たのが、デロス島。当初その島は、アステリア、うずらを意味するオルテュクスと呼ばれた。

アステリアの妹であるレトが、ゼウスの子供を妊娠し、アポロンとアルテミスを生んだのもこの島といわれる。

アストライオス - Astraeus -

ティタン神族の一人。暁の女神エオスと結婚する。

ゼピュロス、ノトス、ボレアスなどの風の神。エオスポロスを生む。

アストレイア/アストレーア

月の女神アルテミスの娘、乙女座の正義の女神
右手に剣を、左手に天秤を持ち、そして背中に翼を付けた女神天秤は人の罪を計り、剣はそれを絶つ。裁きの神と言っても良いかもしれない。人を公平に見るため、目隠しをしている。天秤座の女神でタロットカードの『正義』も彼女といわれる。

人が死ぬとアストレイアは,死者の心臓をこの天秤で測り善悪を知り,善人は天国,悪人は地獄へ送ると言われている。

金の時代、神と人間は地上で野山の果実を自由に食べ平和に暮らしていたが、銀の時代になると収穫の分配をめぐり人々の間に争いが起きるようになり、神々は1人、また1人と天に昇っていく。だが、アストレイアは人間に正義を教えるため地上に残る。しかし 銅の時代になり人間の間に争いが増し、アストレイアの言うことを聞こうとする者すらいなくなり、ついには妹のアイドス(慈悲の女神)とともに、地上を去り天に上り星座になったといわれている。

ローマのバチカン宮殿の礼拝堂の天井や、ジュネーブの国際連合関連の所で像として存在している。

アーテ - Ate -

エリスが独力で産んだ子。破滅の女神。
アタマス - Athamas -

テッサリアの王。アイオロスの息子。ネペレと結婚し、プリクソスとヘレを生む。その後ネペレと別れ、イノと再婚しレアルコスとメリケルスを生んだ。

後妻のイノは、前の妻の子であるプリクソスとヘレを殺そうとするが、ネペレの願いを聞いたヘルメスは、黄金の羊を送り、二人を助けた。詳しいエピソードは、プリクソスを参照。

また、イノはディオニュソスの母であるセメレと姉妹であり、イノとアタマスの二人はディオニュソスをしばらく養育したエピソードがある。それがヘラの怒りを買い、二人は狂気に落とされ、アタマスはレアルコスを殺し、イノはメリケルテスを抱いたまま海へ身を投げてしまった。

全てを失ったアタマスは、デルフォイで野獣の住む地で暮らせ、という神託を受けた。アタマスは狼の住む地で暮らし、老人になった。そして、アカイアの住人に殺されるという神託も受けていた彼は、その予言通りに殺されようとしていたが、アルゴス号と共に帰還した孫のキュティッソロスに助けられた。

アタランテ - Atalante -

アルカディア王の娘。父王は息子を欲していたために生れ落ちてすぐ山に捨てられたが、雌熊によって乳を与えられて保護され成長した。

この熊は狩猟の女神アルテミスの化身だったとも言われ、事実アタランテはアルテミスの養い子にふさわしい弓の腕と誰にも劣らぬ俊足を備えて美しく成長した。

この頃、有名な『カリュドンの怪物猪』が現れ、アタランテはカストルとポリュデウケス、テーセウス、イアソンなどの名だたる英雄たちとともにこの猪狩りに参加。メレアグロスとともにこれを倒した(しかしメレアグロスはこれが原因で不幸な死を遂げた)。

またアキレウスの父親ペーレウスに格闘技試合で勝つなど勇名を馳せた。

その後両親に再会し、結婚を勧められたが、メレアグロスの悲惨な最期のこともあってか、彼女はこれに合意しなかった。それでもあとを絶たない求婚者たちを退けるため、アタランテは求婚者たちに、彼女自身との徒競走を条件付けた。

アタランテが負ければ結婚するが、求婚者が負ければ死ななければならないという過酷なものであったが、それにもかかわらず多くの若者がこれに挑み、そしてむなしく命を落としていった。最後にヒッポメネスという青年が現れたが、彼は自分だけの力で勝とうとはせず、アフロディテに祈りをささげて守護を求めた。女神はこれに応じて彼に三個の黄金のリンゴを贈り、ヒッポメネスはこれを懐にして勝負に挑んだ。アタランテが俊足を飛ばして彼を追い抜こうとするたび、ヒッポメネスは黄金のリンゴを転がし、アタランテがこれに気を取られて拾っている隙に勝利をものにした。

だがこの若夫婦は、アフロディーテのおかげで結ばれたのにもかかわらず女神に礼をするのを忘れてしまった。女神はこれを憤り、二人が太母神キュベレに無礼をなすように仕向けた。キュベレはこの二人を獅子に変じて自らの戦車を引かせたという。

アテナ(ローマ名 ミネルウァMinerva) - Athena -

知恵深き貞節なるアテナイの守護女神。智慧・戦争(都市防衛と機織)の守護神。農業の守り神
パラス・アテナ。ゼウスの娘だが母親はいない。
3美神、3処女神の1人。彼女は一生を娘で通し、純潔の化身ともされ浮いた話はない。
知恵を表すふくろうが聖鳥。オリーブが神木。

アテナの武装姿は兜、メドゥーサの首をはめ込んだ山羊皮盾アイギスを持ち、胸当てをしている。

ゼウスは、メティスが産む子供が自分に背き、将来神を統治する者になるだろうという予言に怯え、妊娠中のメティスを一気に丸呑みしてしまった。
そして、メティスが出産を予定していた日、ゼウスが突如としてひどい頭痛に襲われ、堪えかねた彼は、ヘスパイトスに斧で自分の頭蓋を割らせると、そこから兜と鎧で完全武装し、槍と盾をもった愛らしい女の子が、顔からは想像できないような恐ろしい雄叫びをあげながらロケットのような勢いで飛び出したという。これが知恵の神、技術の神、戦いの神であるアテナの誕生のエピソード。

自分ひとりでこの世に生まれでたアテナはゼウスの第のお気に入り。そのため、彼女は終生独身を守り、戦争があると一方の主護神として男顔負けの活躍をする。灰色の瞳は、常に冷徹に戦況を分析し、さまざまな巧妙かつ効果的な策略を編み出す。彼女につけられた異名は「勝利者」「力」「戦闘愛好者」とどれも勇ましいものばかり。

ヘラクレス、ペルセウス、ベレロポン、などの勇者の危機を助けトロイアの戦争においてはギリシアを応援した。このギリシア守護はアテナ神殿においてカサンドラを辱めようとしたアイオスが、アテナ像にぶつかりアイオスから像が目をそむけた為支援する事を止めたという。

アテナ神殿でアテナイのパルテオン神殿が有名だが、ここの守護神になる際にはポセイドンとの争いがあった。ポセイドンは丘に塩水の泉を湧かせ、アテナはそこにオリーブの木を生えさせ民意を得た。アテナイの人々は実のあるアテナを選んだ事に対しポセイドンが怒りアテナイに洪水を起こさせた為、人々はポセイドンに第2の守護神の地位を与え怒りを和らげた。アクロポリスのパルテノン神殿は彼女に捧げられたものだと言われている。

美女であったメドゥーサを、あのような姿にしたのは彼女である。メドゥーサはアテナよりも美しい髪を自慢したために、 アテナの怒りを買い全ての髪を蛇へと変えられ、その上メドゥーサを見たもの総てのものを石に変えるようにした。それでもアテナの怒りは収まらないので、ペルセウスに力を貸しメドゥーサを退治させる。そして、アテナはメドゥーサの首を盾にはめ込み所持した。
アテナは織物など女性の技術を司る女神でもある。あるとき、アテナは地上の娘アラクネが織物の腕はアテナに劣らないと自負している事を知り老婆に化け娘を諌めた。しかし、娘が無視したので二人は腕を競う事にした。アテナはオリュンパスの神々の勇姿を、アラクネは神々の色事を織るがアラクネの腕はアテナを勝っていた。怒ったアテナはアラクネを蜘蛛に変えてしまう。蜘蛛の糸織りが上手なのはこの為であるといわれている。

*タロットカードの「ジャスティス」が彼女で表現されていることもある。

アドニス - Adonis -

シリアを起源とし、ギリシア神話に組み込まれた神。「Adon」は、フェニキア語で「主」という意味。

アッシリア王テイアスの娘ミュラ(スミュルナ)が父王を愛し、近親相姦の結果生まれた。ミュラに相手にされないのを怒ったアプロディテは、ミュラを父親であるテイアスに恋するように仕向けた。そしてキニュアスを騙し、娘と交わらせたのである。それを知ったキニュアスは、ミュラを殺そうとしたが、彼女は逃げ出してしまう。

それを哀れに思った神々は、彼女をミルラ(没薬)の木に変え、そこから生まれてきたのがアドニスである。

この不幸な出生のアドニスの養育をアフロディテは密かにペルセホネに頼んだ。そしてアドニスは美しく成長した青年になった。

こうなるとペルセホネもアフロディテもアドニスを愛するようになり、そこでゼウスは春から夏はアフロディテ、秋から冬はペルセホネと暮らすよう決めたが、ある時アフロディテは秋が来ても冬が来てもアドニスをペルセホネに返さなかった。

怒ったペルセホネはアフロディテの愛人アレスにこの事を密告した。これを知ったアレスは獰猛な猪に変身し、狩をしていたアドニスを襲った。嘆き悲しんだアフロディテは、アドニスの血からアネモネの花を咲かせ、毎年4月だけ彼が蘇るように神々に頼んだという。アフロディテが流した紅涙が白バラを赤く染めたとも言われている。この時のアネモネはアドニス(同じキンポーゲ科フクジュソウの仲間)と言われることもある。アネモネは、はかない花で、風が吹くと花が咲き2度目の風で花弁が落ちると言われている。ギリシャ語のアネモス(風)から来た言葉。
アネモネアネモネ(ギリシャ語でアドニス)の花言葉 [消えた希望・悲哀・待望・極限の愛 ] *フェニキアの王子、シリアの王キニュラスとその娘ミュラの子ともいわれる。

アドメストス - Admetus -

ペレスとペリクリュメネの息子。アルゴナウテスの一人。カリュドンの猪狩りにも参加した。テッサリア、ペリアの王。アルケスティスと結婚し、エウメロスとヒッパソスを生んだ。

ゼウスに罰せられたアポロンを厚くもてなし、その後アポロンに助けられた。結婚の際に、アルテミスに感謝を忘れ寝室を蛇だらけにされたが、アポロンの仲裁でその問題は解決し、二人は幸せに暮らしたという。

アトラス - Atlas -

天を支える神
イアペトスの長男。プロメテウスの兄。アトランティデスの父。
父らと共にオリュンポスと戦った罪で西の果てで天を担うティターン神族。
オリュンポスとティターンとの戦いにおいて、プロメテウスは先見の明によりオリュンポスの神々の味方をするが、 アトラスはティターンの味方をした為西方の果てにて天界を支える罰を受ける。ヘラクレスの12の難業でリンゴを取りに来たヘラクレスにリンゴを渡し、代わりに自分が届けようと提案する。
ヘラクレスは肩の円座を整えるのでしばらく待つように言い去って行った。
こうして天空を支える役目から脱するチャンスを失った。
ペルセウスメドゥーサ退治の帰りに近くを通るが、ラドンが守護するリンゴ園の黄金のリンゴをゼウスの子が盗みに来ると予言されていたアトラスは、ペルセウスを邪険にした為にメドゥーサの首で石に変えられてしまう。

*アフリカの背骨とも形容されるアトラス山脈は、ペルセウスがメドゥサの首を示したことで巨岩と化した彼の姿だといわれている。

アドラストス - Adrastus -

エウリュディケの父

タラオスとリュシマケの息子
父のタラオスは、アムピアラオスに殺害されたが、後にアドラストスと和解し、その妹であるエリピュレを妻とする。後に、アルゴスの王座につく。王座についた彼は、ポリュネイケスとテュデウスを助け、娘のアルゲイア、デイピュレを妻として与えた。
また、アドラストスは7将を率い、テバイを攻めた。それは、『イリアス』など様々な文献で語られる事になる。その際の攻撃は失敗に終わったが、10年後再びエピゴノイを率い、テバイを攻め勝利した。しかし、息子のアイギアレウスが戦死し、悲しみのあまりアドラストスも死んでしまった。

アトランティス - Atlantis -

ギリシアの哲学者、プラトンの著書「対話編」に記述されている、大西洋にあったと言われる伝説の大陸。空前の繁栄を誇っていたがアテネに攻め込み神の怒りを受けて一夜にして海中に沈んだと言われる。アトランティスの存在した位置は諸説があるが、現在ではサントリニ島の大噴火によって滅びたクレタ島のミノア文明をアトランティス伝説の起源とする説が有力。
アトロポス - Atropus -

第三のモイラで長女(三女とも)。大きなハサミを持って、いつでも気が向き次第その糸を断ち切った。ゼウスの顧問としてその王座に列席する事を許されていたテミスの娘達。
クロトラケシスと共に人間の運命を決定し監視する ' 運命の3女神 ' 。

「免れがたい女・曲げられない女」として最も恐れられる。 その手には鋏があり、生命の糸を個人ごとに切り分ける。

アバス - Abas -

リュンケウスとヒュペルムネストラの息子
マンティネウスの娘アグライアと結婚し、双子のアクリシオス、プロイトス。娘のイドメネを生む。アルゴスの王。

メラムプスの息子
コイラノス、リュシマケの父。

アパテー - Apate -

欺瞞。ニュクスが独力で産んだ子。
アパレウス - Aphareus -

ペリエレスと、ペルセウスの娘ゴルゴポネの息子。兄弟であるレウキッポスと共にメネッセの王となる。義理の姉であるアレネと結婚し、イダスとリュンケウスを生む。

アレネという街を新しく建造。ネレウスがペリアスに国を追われた時、アパレウスは自分の国にかくまって、土地まで与えた。イダスとリュンケウスが若くして世を去ったので、ネレウスの子供であるネストルが王位を継承した。

アポロン(ローマ名 アポロApollo)- Appllon -

ゼウスレトの子。太陽神
芸術、詩歌、音楽、詩、健康、予言、牧畜、弓を司る神。
聖地はパルナッソス山のデルフォイであり、そこでアポロンの巫女が予言を告げる。ただし、運命を定めているわけではない。弓が巧みで、黄金の弓で様々な怪物、人間を屠っている。医術の神である反面、疫病の神でもあり、気に食わない人間達には、疫病の矢をばらまいた。音楽と歌の神であり、調和のとれた音楽をつかさどる。
神託を宣する厳かな医療神パイエーオーンPaieon(パイアーン)でもあり、彼の息子はアスクレピオス
文芸神としてムーサイを、理性神としてホーライを従える。
別名フォイボス/ポイボスは「光り輝くもの」の意
ローマではディアナとの立場も兄妹となる。

性格は、狡猾で不実なところがある。しかし、妙なところで間の抜けてる。そのせいか、ギリシャ神話中で最も女性に振られたり、裏切れた話が伝わっている。

容姿端麗な神。神々の中で最も美しい神と言われた。頭にオリーブの葉の冠を被っている。竪琴がうまく、弓の名手。光線を思わせる銀弓の持ち主でもあり、不明の疾病はその遠矢が原因とされた。

レトは子の生誕の地を探し、浮島デロスにて双子の神、アポロンとアルテミスを誕生させる。アポロンは女神テミスにより、数日で大人になったといわれている。

自分の飼う牛と交換に、弟ヘルメスから手に入れた竪琴キタリスを携え、ダプネとの思い出の月桂冠を頂く。

彼は予言を行う為、ガイアに代わり巨大蛇ピュトンの守護する聖地デルポイへ向かい、そこでピュトンを倒し、(その為にアポロンは後、償いをすることになる) 神託所を建てた。アポロンが巫女達の口を借りてさまざまな予言をするという秘儀が長い間執り行われていた。

アポロンは2度人間に仕えたことがある。 初めはテセウスの息子ヒィポリュトスが死んだときアポロンの子アスクレピオスが生きかえらせた。 その行為に怒ったゼウスはアスクレピオスに雷を落し殺す。 アポロンは復讐の為に雷を造る神ゼウスの子等であるキュクロプスを殺した。 怒ったゼウスは彼を殺そうとするが思い止まり、一年間アドメトス王の奴隷となることを命じる。

2度目はポセイドンと共謀しゼウスを天空より落とそうとしたが、 未然に発覚しラオメドン王の城壁を築くよう命じられた。

彼はもてる神だったが、恋愛では報われない事も多かった。
彼が求愛したカサンドラは処女との交換に予言の力を与えられる。ところが、与えたのが交わる前であったため、彼女は未来を知りアポロンの前から逃げた。怒ったアポロンは彼女の予言に誰ひとり耳を貸さないようにする(1度与えた能力は奪えない)。そのため彼女はトロイの木馬を城内に入れないよう皆に言うが無視されてしまい、トロイアは滅びた。

巫女シビュレには若さを与えようといったが彼女は拒んだので彼女は老いたまま1000年生かされることになってしまった。

ダプネは求愛から逃れるため月桂樹に変身した。(アポロンとダプネ 参照) アポロンの神木は月桂樹。

マルペサはゼウスよりアポロンと人間の男とどちらと結婚するかと問われ人間の男を選ぶ。

シノプは求愛に応じる代わりに条件を出した。それは、死ぬまで処女を通したいという願いであった。

妻コロニスとの間にアスクレピオスをもうける

アポロンの恋愛感情は美少年にも向けられた。西風と争ってヒュアキントスをものにしたアポロンだが、2人が仲良く円盤投げ遊びをしているのを見て妬んだ西風が、アポロンが投げた円盤を風を吹かせてヒュアキントスに当て、殺してしまう。ヒュアキントスが埋められた場所からは草が生え、したたる血の模様をつけた花が咲いた。これの花がヒヤシンスである、といわれている。

紀元前28年ローマ皇帝アウグストゥスの守護神となりデルフォイの神殿が建てられた。ベルヴェデレと呼ばれているアポロンの有名な像は、ピュトン(大蛇)を平らげた後の姿をうつしたもの。

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