アポロンとダプネ - Appllon & Daphne -

ダフネはアポロンの最初の恋人。大蛇ピュトンを弓矢で退治したアポロンは、その帰りにクピドと出会い、 クピドの恋しか射抜けぬ弓矢を嘲笑する。
クピドは「自分の矢は確かに、貴方が倒したような大蛇を倒すことは出来ないが、 貴方を射ることは出来ますよ」と言って、 パルナッソスの岩の上で二本の矢を取り、 恋心をそそる矢をアポロンに、恋をはねつける矢をダプネに射った。

その為、アポロンはダプネを恋い慕い追い回したが、 ダプネは恋など真っ平と逃げ回った。
父親である河の神ペネイオスは二人が結ばれることを希望したが、 ダプネは「ペネウス、私を大地に隠して姿を変えて下さい」と父なる河の神に願った。 父はダプネの願いを聞き入れ、ダプネを月桂樹へと変えた。

アポロンは胸が張り裂けそうになるほど悲しみ、 月桂樹に向かって、貴女は私から逃げるが、 貴女の葉々がいつも、貴女の若さ、美しさのように、 青々とし、枯れる事のないようにさせてほしい。 そして貴女の葉を私の身につける事を許して欲しいと願った。 月桂樹は優しく頷き許し、その頂きを下げ礼に変えた。

以後、アポロンは月桂樹の環で竪琴と矢筒を飾り、 常に身の近くに置くこととした。

















ヘロとレアンドロス - Hero and Leander -

愛の女神アフロディテの女神官ヘロは、風の激しい島セストスに住んでいた。一方、ヘロの恋人であるレアンドロスは、ヘレスポントス(ダーダネルス海峡)をはさんだアビュドスという島に住んでいた。この島も、風が激しく吹く島であった。

女神官は結婚が許されていなかった。二人の恋は、秘密であった。

レアンドロスは毎夜、ヘロに会うために、泳いで海峡を渡った。ヘロは毎晩、塔に灯をかかげ、レアンドロスは、その灯りを頼りに泳いだのであった。

ある晩、ヘロの掲げる灯りを風が消してしまった。レアンドロスは闇の中で、目標を失い、溺れて死んでしまった。

ヘロは絶望のあまり、塔から海に身を投げるのであった。

イギリスの詩人バイロン卿が、この話は作り話ではないことを証明するために、自ら、ヘレスポントス海峡を泳いで渡った。

















アドメトスとアルケスティス

アポロンの息子アスクレピオスは、医術をさずかり、死人を生き返らせることができた。

黄泉の国王ハデスが驚き、ゼウスに報告した。ゼウスはアスクレピオスの雷電を投げつけ、ぼろぼろにしてしまった。

自分の息子を殺されたアポロンは、怒って、雷電を造ったキュクロプス(一眼巨人)を射殺してしまった。

ゼウスは再び怒り、アポロンに罰を与えた。人間の下部となる命を下したのである。

アポロンはテッサリアの王アドメトスのもとで、羊飼いとなった。

王アドメトスはアルケスティスに思いを寄せていた。アポロンの助けで、王は思いを遂げ、結婚するることができた。

しかし、しばらくすると、王アドメトスは重い病気になってしまった。

アポロンは運命の神に頼んだ。誰かが身代わりになるという条件で、王は死を免れた。

しかし、肝心の身代わりが見つからない。

王アドメトスの家来は、彼のためなら何でもすると言っていたのに、いざとなると、誰も身代わりに死のうという家来はいなかった。

王の両親も、我が子を亡くすのを悲しんでいながらも、自分たちが身代わりになることは怖がった。

すると妻のアルケスティスが、身代わりになると申し出た。

王アドメトスはいったんは拒んだが、他に方法がなかった。運命の神々が、すでに、約束どうり、王アドメトスを生き返らせたのだから、変更することはできない。

アルケスティスは、たちまち、重い病気にかかってしまい、今にも死にそうになってしまった。

ちょうどそのとき、英雄ヘラクレスが、宮殿に来た。みんな、王妃アルケスティスの病に悲しんでいるところであった。

単純なヘラクレスは彼女を救おうと決心した。

死神が、その生贄の王妃アルケスティスを迎えに来たとき、ヘラクレスは死神を捕らえて、生贄の王妃を捨てさせた。

王妃アルケスティスは、夫のもとへ返ることができた。