ビアス - Bias -

アミュタオンとイドメネの息子。兄弟に、メラムプス。二人は予言者であり、後の予言者の一族の祖となった。ネレウスの娘ペロに恋をし、求婚した。それを手助けするために、兄のメラムプスは罪を犯してしまった。
ピグマリオン/ピュグマリオン - Pygmalion -

キュプロス島王。キプロスの才能豊かな、若い彫刻家ともいわれる。

彼はこの世界には理想とする女性が居ないことに失望していた。
そこで象牙で女像を造った。そしてまたとない傑作を作り上げた。その彫像があまりにも美しかったので、彼は彫像に恋をしてしまった。毎日、なにも手につかず、もし彼女を手に入れられないのなら、崖から飛び降り死んでしまおう、と独り言を言った。

彼に同情したアフロディテは、この女像に命を与えた。彫像に命が通り、乙女がそこに立っていた。名前はガラテアであると、アフロディテが言い残し去っていった。

彼は女像と結婚し、2人の間にパポスが誕生した。

そして彼はその生涯をかけ、世界中の神殿のためにアフロディテの像を作って過ごしたという。

ヒッポコオン - Hippocoon -

オイバロスとバテイアとの間に生まれた息子。兄であるテュンダレオスをスパルタから追放するが、後にヘラクレスに殺され、スパルタはテュンダレオスが統治することになる。

ヒッポコオンがヘラクレスに殺された理由は、イピトス殺しの罪の汚れを清めるのを断った為。彼の従者であるオイオノスが犬に石を投げ、その犬の飼い主であったヒッポコオンの息子達がオイオノスに復讐した為である。

ヒッポダメイア - Hippodamia -

オイノマオスの娘。神託によって、オイノマオスは娘の結婚した夫に殺されるだろうと告げられ、オイノマオスは娘に求婚する者全てを殺し続けていた。

しかし、ヘプロスはオイノマオスの御者であるミュルティロスを、成功したあかつきにはヒッポダメイアを一晩貸すこと、国を半分ずつ統治することを条件に買収した。ヘプロスは彼女を娶り、追いかけてくるオイノマオスも罠にかけて殺してしまった。その後、かかわったミュルティロスも殺してしまう。

ペロプスとの間に、アトレウス、テュエステス、ピッテウスを生んだ。また彼女は継子のクリュシッポスを恨み、ライオスに誘拐させた。それでも戻ってくると、実の息子達に殺させてしまった。それがヘロプスの知るところとなり、自殺、あるいは息子達が統治するミデアまで逃げたという。

ヒッポリュトス - Hippolytos/Hippolytus -

ガイアの子
クロノスがウラノスの性器を切り落した際、こぼれた血の滴が大地に滴りガイアの中に入り生まれた。

テセウスとヒッポリュテ、あるいはアンティオペの息子
テセウスは、後にパイドラと再婚する。パイドラは、ヒッポリュトスと出会い、テセウスの息子だとは知らずに恋に落ちてしまう。

エウリピデスの『ヒッポリュトス』によれば、処女神アルテミスを深く崇拝するヒッポリュトスは、パイドラに興味を抱くことはなかった。パイドラは自分の思いが通じないと悟と、彼を責める遺書を残し、命を絶ってしまった。
それを知ったテセウスは、息子の弁明にも耳を貸さず、ヒッポリュトスをポセイドンに依頼し、殺してしまった。後に、アルテミスは彼を蘇らせ天にあげたという。

ピネウス - Phineus -

ポイニクスの息子。もしくは、アゲノル、ポセイドンの息子
トラキア、サルミュデッソスの予言者。クレオパトラと結婚するが、後にイダイアと再婚する。イダイアの行いによって、彼は不幸な境遇にさらされたが、アルゴ船に乗って旅するアルゴナウテス達によって救われた。

アンドロメダの叔父
兄弟にケペウス。

ヒュアキントス - Hyacinthus -

アミュクラスとディオメデ、あるいはピエロスとムスの一人クレイオの息子。他に類を見ないほど端正で愛らしい美少年で、同性愛者であるタミュリス、そしてアポロンに愛された。

ヒュアキントスとアポロンの仲を妬んだゼピュロスは、アポロンが円盤競技で楽しんでいるとき、風を操って、それを見学していたヒュアキントスの眉間に円盤を命中させてしまった。

眉間から滴り落ちる鮮血は、大地に染み込むとヒヤシンスの花になった。その傷が元でヒュアキントスは命を落としてしまう。

ヒュアキントスから流れた血から赤いアイリスに似た花が咲いた。ヒヤシンスの花は、赤いアイリスだったとも考えられている。

スパルタ人に命月4月にはヒュアキンティア(ヒュアキントスの祭典)を開くように命じる。その為、スパルタの人々はアポロンの守護を失わないように、戦争中であっても戦争を一時中止してまで祭典を催した。

ピュトーン - Python -

大地母神ガイアの子。大地を覆うがごとくの大蛇
ヒュドラ/ハイドラ - Hydra -

エキドナとテュポンの子。沼の底にすむ9 (5〜100までいろいろ説がある) 個の頭部を持つ巨大水蛇。真ん中のひとつの首は不死身。首を1つきると、また新しく2本の首がはえてくる。レルネ沼に住んでいたが、まわりはヒュドラの毒で満たされて、住民はそこの水が飲めなかった。

そこでヘラクレスは切り落とした首を焼き、残った不死身の首を大きな岩の下に押さえつけた。しかしヒュドラの毒をつけた矢でヘラクレスはケイロンを射てしまい、ケイロンは不死を捨てて死んでしまった。そしてヘラクレス自身もヒュドラの毒に侵されて不死を捨てて死んだ。

「ヒュドラ」とはギリシア語で「水蛇」という意味。同じ語源からヒュドロスという怪物も産まれている。

ヘラクレスによるヒュドラ退治の際、ヒュドラをかばって闘い、ヘラクレスに殺されてしまったのが、同じ沼にすんでいた化け蟹で、この化け蟹はヒュドラへの友情を神々に讃えられて蟹座になった。

ヒュプシピュレ

* アルゴー探検隊 参照
ピュプノス - Hypnos - (英 ソムヌス)

眠りの神。ニュクスが独力で産んだ子。

カリスの1人アグライアをめとり、造形者モルペウス・威嚇者ポベトール・仮像者パンタソス・夢神オネイロス・幻夢イケロス・淫夢インクボー・悪夢インクブスら男神7柱をもうけ、夢一族の長となった。

ピュプノスの宮殿は、太陽神が一度も訪れたこともない、雲と霧に覆われ冥界のレーテ川の水音だけが聞こえる、寂しいずっと山奥の大きな洞窟にある。宮殿の廻りにはケシの花が辺り一面に咲き乱れていたので、ピュプノスは花を摘み、汁を集める。地上に、夜が来るとこれを一面に撒き散らす。鳥も獣も人間も全ての生き物を眠らせてしまう。眠りの神の廻りには、どれも同じ姿をした夢がたくさん集まって遊びまわっている。

ヘラの願いで、トロイア戦争の際にゼウスを眠らせている。

アポロンに頼まれ、タナトスと共にサルペドンの遺体をリキュアまで運んだ。後に彼は、エンデュミオンを愛し、その瞳がいつでも見られるように寝ている間も目を開かせたという。
夢は、神の命令で人間の眠りの中に入り夢を観させている。ケシの花が眠りの花と言われるのはこんな神話からきている。 *眠りの王国 参照

芥子 ケシ(アイスランドポピー) [花言葉:忘却]

ヒュペエリオン/ヒュペリオン - Hyperion -

ガイアとウラノスの子、ティターン神族と呼ばれる12柱の神々の6柱の男神のひとり。太陽神

高みを行く者・上にあるもの・上なるもの、の意
テイアを妻とし、テイアとの間に太陽神ヘリオス、曙女神エオス、月女神セレネをもうける。

単にヘリオスの尊称として扱われる場合もある。

ヒュペルノル - Hyperenor -

カドモスが市を建設する時に、泉にいた竜を倒すとアテナが現れ、 倒した竜の歯を蒔くと武装兵バルトイが大地から誕生した。
バルトイ達を同士討ちさせると五人の兵ウダイオス、クトニオス、ヒュペルノル、ペロロスが残り、 アテナはこの兵を使って市を建設するように言って去っていった。
ヒュペルノルは、カドモスが建設した市テバイの貴族として子孫を残す。

ヒュペルボレオス - Hyperboreos -

北風神ボレアースが支配する極北の果にある伝説の国
ヒュペルムネストラ/ヒュペルメストラ - Hypermnestra/Hypermestra -

ダナオスの50人の娘ダナイスの長女
彼女たちは、アイギュプトスの50人の息子達と結婚させられることになり、それに反対するダナオスは、新婚の夜に夫達を殺すようにと50人の娘達に短剣を手渡した。
彼女たちは夫を殺し、兄弟の恨みを晴らしたが、ひとり、ヒュペルムネストラは夫であるリュンケウスを逃した。恐らく愛していたのだろう。2人の息子であるアバスは、後にアルゴスの王となった。

テスティオスの娘
オイクレスと結婚し、アムピアラオスを生んだ。

ヒュペレノル - Hyperenor -

「播かれた男子達」の一人。龍の牙から生まれ、テバイの貴族の一人となる。また、アイトゥサの息子という神話もある。
ピュラ - Pyrrha -

パンドラとエピメテウスの娘。デウカリオンの妻。夫ともに大洪水を生き残り、新しい人間の祖先となった。
ピュラコス - Phylacus -

デイオンとディオメデの息子。クリュメネと結婚し、アルキメデを生む。ピュラカイの王。
ヒュリエウス - Hyrieus -

アイトゥサの子。ボイオティア、ヒュリアの創建者であり初代の王位につく。子供がどうしても出来なかったため、ゼウス、ポセイドン、ヘルメスらを招き、その願いを申し出た。神々は、彼に牛の皮の上に放尿するように命じた。そしてそれを土の中に埋めると、九ヶ月後にオリオンが生まれた。
ピュレウス - Phyleus -

アウゲイアスの息子。ティマンドラは夫であるエケモスを捨て、ピュレウスと結婚した。その間に生まれたのが、メゲスである。

ヘラクレスの難行のいざこざで父と揉め、エリスを去った。ドリキオン島(現在のレウカス島)に逃れ、そこに建国した。しかし、後にヘラクレスはアウゲイアスを退位させ、ピュレウスをエリスの王位につけた。

ピュロエイス - Pyroeis -

火の馬。西風神ゼピュロス(Zephyros)とハルピュイア(Harpuia)のひとりポダルゲー(Podarge)の間に生まれた神馬で、ヘリオスが、地上に光を与える日輪の戦車を引く4頭の神馬の1頭。
ヒュロス - Hyllus -

ヘラクレスとデイアネイラの息子。ヘラクレスは、エウリュトスの娘イオレに固執し、最後は妻であるデイアネイラの嫉妬によって、毒を盛られてしまう。ヘラクレスは、息子であるヒュロスに、必ずイオレを妻にするように言うと、命を落とした。

様々な困難を越え、やがて2人は結婚する。その間に生まれたのが、クレオダイオスである。最後は、テゲアのエケモスとの一騎打ちに敗れ、命を落とした。

ヒラエイラ - Hilaira -

レウキッポスの娘。元々はリュンケウスの許嫁だったが、カストルに連れ去られ、無理矢理その妻になった。カストルとの間にアノゴンを生んだ。
ピラムモン - Philammon -

アポロンとキオネの息子。ヘルメスとキオネの子供であるアウトリュコスとは兄弟。著名な吟遊詩人で、デルポイで開かれる多くの音楽大会で勝利を収めた。

ニンフと恋に落ちたが、彼女が妊娠すると彼は自分の家に迎えることを拒否した。タミュリスという息子が生まれるが、彼女はトラキアでその子供を育てた。

デルポイをオルコメノス王であるプレギュアスが攻めたとき、ピラムモンはアルゴスの軍隊を率いて応戦したが、そこで戦死した。

ピロテース - Philotes -

愛欲。ニュクスが独力で産んだ子。
ピロメラ - Philomela -

パンディオンとゼウクシッペの娘。兄弟にエレクテウスとブテス。姉妹に、テレウスと結婚したプロクネがいる。

トラキアで暮らす姉妹のプロクネは、彼女にトラキアに来て欲しいと頼み込んできた。パンディオンはそれを許可し、テレウスが彼女を迎えに来ることになった。だが、ピロメラの美しさに、テレウスは惚れてしまった。

テレウスは、自分の国まで彼女を連れてくると、森の中に彼女を誘い込みそこで犯してしまった。そして、それがばれることを恐れ、その舌を切り落とし、プロクネには彼女は死んだと伝えた。

ピロメラは、何とかそれを伝えようと考え、織物にその出来事を織り込んで、プロクネへ伝えたのだった。それを知ったプロクネは何とかテレウスへ復讐しようと考え、彼の息子でもあるイテュスを殺害し、密かにその肉をテレウスに食べさせた。それを知ったテレウスは2人を殺そうとしたが、二人は鳥になって空へと消えた。