アルゴー探検隊 - ARGO -

遙かな昔、コロンブスの世界より二千年もの昔、海洋を渡る船があった。 その船はアテナの神より贈られたアルゴー号であり、 五十人のギリシアの英雄達アルゴナウタイが乗り込んでいた。

何故、まだ未知の世界であった海洋にこの英雄達が冒険に乗り出したのか。

テッサイアのイオルコス王国はデウカリオンにより創建された国である。 この国の次期国王の名はアイソンであったが、ペリアスが反逆し王位を奪った。 アイソンは息子イアソンを助けるために、ペリオンの山に住むケンタウロスの賢者ケイロンに 息子を託す事は成功したが、 自分は捕らえられイオルコスに幽閉された。

ケイロンに預けられたイアソンは成人し、ケイロンより自分が正当な王位継承者であると知り、 王位を譲り受けるべく王国へ向かった。 ペリアスはまさかイアソンが生きていたとは思っていなかったので、さすがに驚愕はしたが、 悪知恵を働かし難題を押しつけて殺そうと計った。

それは黒海東岸のコルキス国のアレスの森にあるとされる、 空飛ぶ黄金の羊の毛皮を取ってくることであった。 イアソンはギリシア中から英雄を集いアルゴー探検隊を結成し破天荒な冒険へと乗り出すことになった。 集った主な英雄の名はヘラクレス、オルペウス、カストル、ペレウス達であり、 予言者としてアポロンの子イドモンが揃った。

次に船を造ることにした。 イアソンはギリシア一の大工と言われるアルゴスに船の建造を依頼する。 アルゴスが船の建造中にアテナが現れ、船の舳先に付けるよう一本の樫材を渡した。 その樫材にはアテナの予言の力が与えられていた。 アルゴスは、神の祝福が得られた事に大いに喜び、樫材を彫刻し舳先に取り付けた。

船が完成し、英雄達が乗り込んだ船はオルペウスの竪琴の音色に合わせるように未知の世界へ船出した。

三日目の朝、船はレムノス島へ到着する。 この島は昔、アフロディテの呪いを受け、男が一人もいなかった。 それ故に英雄達は大歓迎され、多くの子孫をこの島に残す。 イアソン自身もこの島の女王であるヒュプシピュレと結婚し、エウエノスとアトスが誕生する。 船中に留まり女性と交わらなかったのはヘラクレスただ一人であった。 月日が経ちヘラクレスは出発を提案する。 女王は悲しんだが、冒険が成功し国王と成った際は妃として迎えに来ると約束し出発した。

次にアルゴー号はドリオニアの国に到着する。 神託を受けていたキュウジコス王は、自ら迎えに行くほどの歓迎をした。 その日国王と英雄達は飲み明かし、翌日には親しい友人になっていた。 翌日、船出したアルゴー号は深夜の嵐に襲われドリオニアの国に戻ってしまった。 ドリオニア人達は近国が襲撃に来たと勘違いし、攻撃を開始する。 アルゴー号もまさかドリオニアに戻っているとは思わずに反撃を開始した。 そして多くのドリオニア人と国王を殺してしまう。 嵐が去り間違いに気づいたときには遅く、悲しみの中、王妃も首を吊って死んでしまう。 アルゴー号は3日間喪に服し王の死を悼んだ。 だが、いざ出発しようとすると女神キュペレが王の死を嘆き悲しみ嵐を起こす為に12日間足止めされた。 13日目に予言者モプソスが原因を突き止め、英雄達は女神キュペレに供犠を捧げ怒りを静める事が出来た。 こうしてアルゴー号は再び出発する。 東に向かい海路を取るアルゴー号は、ヘラクレスの櫂が折れてしまった為に岸に着けることにした。 ヘラクレスは従者であるヒュラスと共に櫂になりそうな木を探しに森に入っていった。 手頃な木が見つかったのでヘラクレスは削り初め、ヒュラスは水を汲みに行った。 森の奥で泉を見つけたヒュラスは水を汲もうとすると、数人の水のエルフがその腕を掴んだ。 大声で助けを求める声を聞いたポリュペモスは奥に入っていくと、 同じく声を聞きつけたヘラクレスに出会い二人で奥に入っていくと既に泉にはヒュラスの姿は無かった。 二人はヒュラスを探しに奥に入っていく頃、アルゴー号は海神グラウコスに襲われ このままヘラクレス達を待ち、 海神と戦うか、それとも三人を残し船を出すか協議した結果、 英雄達はこの地を去ることにした。 後、ヘラクレスはギリシアに戻り、ポリュペモスはその地にキオス市を興す。

ボスポラス海峡に近づいた英雄達は水を補給するために岸辺に上陸することにした。 泉で水を汲もうとすると武装兵が現れ、この泉はベブリュウクス人の泉であり、 水が欲しい者は掟により国王アミュコスと試合を行い勝たなければならないという。 しかたなく、英雄達は王の館へ向かい試合を申し込む。 英雄の中からゼウスの子ポリュウデウケスが名乗りを上げ、国王と戦うことになった。 国王は全戦全勝と言うだけありポリュウデウケスの二倍はありそうな体格はしていたが、 ポリュウデウケスの一発が顔面に決まり倒れてしまった。 国王は自分より強い者が大勢いることを知り反省し、泉の水は誰であろうと水を分け与えることを約束した。 こうしてアルゴー号は十分に水を補給して旅立った。

ボスポラス海峡の入り口に近づき、英雄達はサルミュデッソス国の王ピネウスを訪ねることにした。 その王は、人間の未来を予言してしまった為にゼウスの怒りにふれ、 ここ数年女性の顔を持つ怪鳥ハルピュイアイに苦しめられ、食事さえとれずに死にかけていた。 王は予言の中でアルゴー号の英雄、北風ポレアスの子カライスとゼテスが この罰から救い出してくれる事を知り大歓迎した。 王の妻クレオパトラはカライスとゼテスの姉妹であったので、二人は承諾し、 王に舞い降りてきたハルピュイアイに剣を向けた。 驚いたハルピュイアイは飛び立ち逃げたが、二人の兄弟にも黄金の翼があり、 怪鳥を何処までも追いかけた。 ペロポネシス島に近づいた頃、二人は怪鳥に追いつき剣を振り下ろそうとした時、 女神イリスが現れゼウスの所有するこの鳥を殺してはならないと忠告した。 ハルピュイアイも二度と王国には近づかないことを約束したので、二人はサルミュデッソス国に戻った。 怪鳥を追い払ってくれた礼として、王は航路と今後の航海の困難さを教えた。 それはボスポラス海峡を渡った所に大きな二つの岩があり、 この岩はここを通る物全てをシンバルのように押しつぶすと言う事であった。 英雄達は知恵を授かり海峡を渡り、そこで一羽の鳩を放した。 鳩が岩を通ると二つの岩は打ち合ったたが、鳩は尾羽を少し挟まれただけで無事に通り過ぎた。 それを見て、岩が開き出すと同時に船を鳩と同じ速度で進ませ、無事に海峡を渡りきることに成功した。

無事に海峡を渡りきった一行は黒海の果てコルキス国につき、 イオルコス国王イアソンは金羊毛皮を求めてアイエオスの館にうかがうが、 アイエオスはイアソン達が国を奪いに来たと思い、試練を成したら渡そうといった。 それはアレスより贈られた火炎を吹く二匹の牡牛にくびきを付け大地を耕し、 その後で、アレスの泉の竜の歯を蒔き、そこから誕生した兵士達を退治しろというものであった。

困っていたイアソンの前にアフロディテによって恋心を吹き込まれたアイエオスの娘メディアが来て、 竜の炎で焼けつく事の無い魔法の香油を渡し、兵士達との戦い方を授けた。 翌日炎を吹く牡牛を押さえつけ、その首にくびきをつけて大地を耕した。 そして王より渡された竜の歯を大地の撒き、 そこから武装兵が誕生したので メディアから教わったとおりに兵の中心に大きな石を投げ込むと兵達は同士討ちを始め全てが倒れた。 こうして試練に勝ったイアソンではあったが、アイエオスは夜に船を襲い皆殺しにしようと一計する。

メディアは結婚を条件にイアソンに金羊毛皮の場所を教え、 金羊毛皮を守る竜の住処でメディアは魔法でこの竜を眠らせ金羊毛皮を手に入れた。

こうしてイアソンとメディアは弟アプシュルメスを同伴し国から逃げ出した。 だが、国王は子たちが誘拐されたと思い追いかけた。 メディアは追いつかれそうなので弟を、父アイエオスの船団の目の前でばらばらに殺し海上にばらまいた。 アイエオスが肉片を拾い集めている間にイアソン達は逃亡に成功する。

無事に逃亡に成功したアルゴー号であったが、船には呪いがかけられていた。 イアソンはアルゴー号の舳先に尋ねると、 呪いはアプシュルメスを殺したイアソンとメデイアの行為にゼウスが怒っており、 二人とも魔女キルケに清めてもらう必要があるということであった。 そこで英雄達はキルケの住むティレニア海に向かい、島を訪ねた。 キルケは二人を清めてあげたが二人の罪を聞くと、その残酷さに怒り二人を島から追い出した。

アルゴー号は女の顔と鳥の姿を持つセイレーンが住むと言われる島を通過する。 セイレーンの歌声を聞いた者は、気が狂い時を忘れて永遠に聞き惚れると言われている。 アルゴー号が島を通過する際、プテスの耳に歌声が忍び入り、泳いで島へと向かった。 他の英雄らはオルペウスが奏でる竪琴に耳を奪われ、セイレーンの歌声を聞かずに済んだ。

アルゴー探検隊は多々の困難な航海の末イオルコス国に到着する。 だが、二度とイアソンが戻ることはないと考えていた国王ペリアスはイアソンの両親を殺害していた。 イアソンはメディアに相談し、ペリアスの娘らに若返りの薬と称して毒を飲ませる。 ペリアスにもうまく言い、この毒を飲ませ殺害した。

だが、この行為はイアソンを信じ共に航海、冒険したペリアスの息子アカストスを怒らせた。 航海中からイアソンの残虐さに疑問を持っていたアカストスは、父ペリアスに変わり王となり、 市民の力を得てイアソンとメディアを国から追放した。

イアソンとメディアは国を追われ、コリントスへ向かう。 この国の王クレオンは二人を歓迎し、二人はこの国で、メルメロスとペレスを誕生する。

王クレオンはある時イアソンに、自分は跡取りがいないので娘グラウケと結婚し、 この国の王にならないかと相談する。 イアソンはそうなれば大きな権力を手に入れられると考え、その相談を承諾してメディアを国から追放した。

メディアはイアソン達に復讐してやろうと思い、結婚式でグラウケが着る服に魔法をかけ、 皆が見ている前で火炎をおこした。 娘が焼け死んでいくのを止めようと、王クレオンも娘に抱きつき、共に火炎に包まれ焼死する。
メディアはイアソンとの間の子メルメロスとペレスを殺して去って行く。

その後、イアソンは放浪し、ある海岸で思い出のアルゴー号を見つけ、 この船中で一泊しようとしたが船が揺れイアソン側に倒れてイアソンは死んだ。

メディアは太陽神ヘリオスの助けでコリンコスを逃れ、アテナイに向かい、 テセウスの父であるアイゲウスを誘惑して王妃となった。

だが、テセウス殺害に失敗し故郷のコルキスに逃れるが、父アイエテスが兄であるペルセスに殺害され、 ペルセスが王位に就いているのを見て父の復讐の為兄を殺す。