よく 「初めて飛んだ時どうだった?」 と聞かれますが、自分の場合、 「緊張した。」 としか答えません。
”位置に付け!”の号令で扉に立った時、 「ウッヒャー!」 とは思いましたが、不思議と怖くはありませんでした。
”ホントやるのかよ?”なんて思っているうちに尻を叩かれ、身体は自動的に機外に飛び出していました。

特別な事でも何でもなく、今までの4週間の訓練の結果なんですよね。
「尻を叩かれれば飛び出す」 ように造られた訳ですから、むしろ当然と言えばそうなんでしょう。
感想なんて、そんなものでした。

着地をしたならば、まずは周囲の点検を再度実施します。
戦場でしたら当然敵が近づいている可能性が、そうでなくてもそこが収納作業に適した場所かどうか等、調べる点は幾つも あります。
傘の扱いはその時それぞれですが、通常は集合地点に持って行き、その段階で傘整備中隊に返納してしまいます。
安全が確保されたら、傘の収納に入ります。
野外巻きと呼ばれる要領で傘を両腕に蛇のように巻き付け、ビラビラした縛帯を揃えた主傘の上に載せ、腹帯という胴体を ぐるりと周る帯でガッチリ止めて、一緒に持ってきた梱包袋にぶち込んで終わり。
あとは予備傘、武装しているなら銃や装具を持ってエッチラオッチラと集合地点へ駆け足で向かいます。
遅いと着地の時みたいにメガホンで怒鳴られ、恥ずかしい思いをします。
全員集合した段階でJMが人員、装備の異常の有無を確認、降下場の降下訓練統制幹部に報告、帰隊となります。

退職までの6年間の内、輸送機、ヘリコプター合わせて計40回の降下を実施出来ました。
1回だけ着地の際足を少々痛めたりもしましたが、大きな事故も無く無事に終了することができました。

素晴らしい経験を与えてくれた空挺部隊に感謝するばかりです。



(40回終了、最後の降下。)


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