ニル・バイ・マウス
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1997年/イギリス/COLOR/119min
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原題 Nil by Mouth
監督 ゲイリー・オールドマン
製作 リュック・ベンソン
音楽 エリック・クラプトン
撮影監督 ロン・フォルチュナート
主演 キャシー・バーク、Charlie Creed-Miles、Laila Morse、Edna Dore
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悲しみを食うか、食われるか─ サウスロンドン8区。
「ニル=ゼロ」つまり「ニル・バイ・マウス」とは手術などの前後「何も口にすることの出来ない」状態をいうが、親は子供に暖かい言葉を口にしない状態をも指す。そんな、愛に飢えながら、自らも歪んだ形でしか愛情表現ができない人々の物語。
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舞台はイギリス、サウスイースト ロンドン・8区。ゲイリーの生まれ育ったSE8 (プロダクションの名前も) と呼ばれるこの地区には、人間しく生きていくことさえも困難な人々が暮らしている。アルコールやドラッグ、そして暴力が蔓延する中でもタフに生きる人間の強さと、それでも愛なくしては生きていけない人間の性を、一つの家族を通してリアルに描く。登場人物は、アル中で暴力的なレイモンドとその妻のヴァレリー、娘ノミシェルと薬中のビリー、そしてどんなときも頼りになる母ジャネット。過酷な環境の中で生きる彼らには時に残酷でもあるが、誰もがゲイリーの心象風景の中に居た人物であり、愛すべき人間たちなのである。現代では失われつつある人間らしい生の活力に溢れたこの映画は、ゲイリーの父の思い出に捧げられている。
「オヤジは父親らしい言葉の一つもかけてくれなかった。 死んだときも、墓に彫ってやりたかったくらいだ。
“ニル・バイ・マウス(口ではなにも)”とな」
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抑えた色調とズームを多用したカメラワークで、 さながら昔のドキュメンタリー番組のような映像 (Docu-soap)。 それがとても効果的で、かさぶたを剥がすかのように、ぐっと突き刺ささってくる。
あるがままの… 悲しくておかしくて… そんな中にも笑いがあって… 人間くさい… サウスロンドンの貧困の街の人たち、、
これが、彼がみてきた・・・現実、、、。 「シド・アンド・ナンシー」や「フィフス・エレメント」みたとき 独特な個性がある役者さんだったので気になってたのですが 物凄いハングリーな精神で、でっかくなった人なんですね、、
気になったのが、コトバ。すごいコックニーで、私には、ほとんど聞き取り不能。 「ニル・バイ・マウス」が「ニル・バゥ・マーフ」、というように。
ヴァレリーの母ジャネット役は、ゲイリーの実のお姉さん!!素晴らしかったです。
12/04 2003
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