レジョンのバンを見送り、我々はオバーニュの駅に降り立った。
皆はそくささと駅に入っていってしまった、彼らには名残とかは関係ないらしい。
自分はサエスに金を渡し一緒に切符を買ってもらうように頼んだ、どうせ自分のフランス語は通じるまで時間が掛かるから。
表に出て電話を試みるがうまく繋がらない、どうもテレティケットってヤツは安いが使えない。
タバコを吹かしてるとサエスが戻ってきた、電車が来るまで50分近くあるという。
2人でオバーニュを散歩する事にした、シーフードサンドイッチをかじりながら「シビルの味だなあ」などと言い合う。
どこもそうなのだがフランスの町は大体似通っている、都市の一部を切り取ったように街があり、周りはいきなり
何もなくなる。
ここも同じして、しばらく商店が続いたかと思うともう正面には道路と山脈が目に入ってくる。
30分ほど歩いて駅に戻る、バシリエフらマフィア・スラブ(笑)はたまたま居たレジョンの兵と話していた。
これから南米ギアナに向かうと言う、タフな男だ。
昼前でマルセイユ行きの電車が来た、皆デカいバックを手に乗り込んでいく。
他の乗客はそんな風景にはなれているらしく、せいぜいちょっと目をくれる程度だった。
自分はルドゥークスと入り口に立った、マルセイユまでの間をいちいち狭い通路を通って座る気はない。
彼は故郷に帰ったらまず仲間とディスコに遊びに行くと言っていた、ここじゃ20歳はまだまだ遊んでいる歳らしく、他の
フランコフォンも皆同じ事を言っていた気がする。
子供もいるのにのんきなもんだなあとしか思わない、ここでもカステルの時CPLから買った携帯電話で誰かと話している。
マルセイユに着くと先導していた連中がなにやら騒いでいる、行ってみるとそこにはラトゥとオニーズがいた。
連隊での射撃訓練で耳を痛め、これから病院に行くのだと言う。
予想もしていなかった再開に皆喜び、互いに「Bon chance(幸運を).」と声を掛け、同じようにしてマフィア・フランセと
もここで分かれた。
ここでも面倒なので皆付いて行く、まあ別にいきなり「ハイ、サヨナラ」のつもりもないし。
駅南側、階段下の道路対面のホテルはアウトだったが、そこのフロントの女性は「横の通りのホテルなら空いてるかも」と教えてくれた。
言われるがままに8人の外国人の集団がでっかいバックを抱えて歩いて行く。
見た目喫茶なホテル、フロントでサエズが交渉し、集団の宿泊がOKとなった。
くそ重いバックを手に、6階だか7階まで上がる、バディのリクエストなんぞしなかった自分はサディルと同じ部屋になった。
皆荷物を置き、真っ先にマルセイユのポステ(郵便局)へ向かう。
レジョンの時の給料を受け取りにだ。
駅の北側、そう遠くない所にあった、小さなオフィスだ。
ここでもサエズがメインで交渉をし、我々は商談部屋の前で待っていた。
レジョンの人間だと通じ、口座に残った給料の支払いが始まる。
一人一人担当と話し、金庫の窓口から現金を受け取っていく。
終わってからは皆で見物に出た、とりあえず近くのデカいショッピングセンターへ入る。
でかい、日本のららぽーとより大きいのではないか。
皆適当にぶらつき、上った階に本屋を見つけた、今風なCDなども扱っている。
足を踏み入れてぶらぶらする、面白いものを見つけた。
”MANGA”、一角の棚を丸々占拠している、試しに一冊手に取る、マジで漫画だ。
「MANGAって?」グリークが聞いてきた、「コミックスだよ、日本語だ。」「へえ・・・」「こいつは’カルチャーだよ’」「成る程」
バシリエフやヘテの’マフィア・スラブ’がCDを物色してる間、自分、サエズ、グリーク等’キャピタリスト’は専門書のエリアへ足を向ける。
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