催眠術 - Hypnotism -

催眠法ともいう。被験者を人工的に暗示にかかりやすくし、術者の与える暗示に極端に注意が集中する特殊な意識の状態(催眠状態)にさせる、特定の心理的または生理的な操作。自分自身に術を施す場合を自己催眠、集団に施すのを集団催眠という。催眠状態は睡眠とは異なり、意識のせばまった特殊な状態で、術者によって与えられた命令や暗示だけに従う。催眠術はメスマーによって科学的にとりあげられ、フロイトを経て現在では精神療法の一つとして一部の精神科医が用いている。
サイコパス/精神病質 - Psychopath -

 社会環境説と遺伝説の2つの原因説があり、特徴は、口達者である、自己中心的で傲慢である、良心の呵責や罪悪感が欠如している、他人との共感能力が欠如している、刹那的で自分の行動をコントロールできないことなど。
 実際には、現在の精神医学界では使われていない。

サイン・アプローチ - Sign Approach -

長期にわたる音声言語指導によっても、きわめてわずかな音声言語コミュニケーションしか獲得できなかったり、音声模倣や発声、発声音の分化が可能でない重度知的障害児・者や自閉症児らに、サインによるコミュニケーション行動を獲得させる指導法、またはサイン言語を獲得させる指導法のことで、サイン言語法ともいう。この場合サイン言語は手話よりの広い概念。
サーカディアン・リズム - Circadian Rhythm -

ヒトを含む動植物は、例えば睡眠・覚醒や昼行性・夜行性などその活動や機能において日周期(daily periodicity)が見られ、その変化は太陽の日周期や潮騒の周期など外因性の地球物理的周期にしたがっているように見えるが、外因性周期を排除した条件下であってもこの変化は24時間よりもわずかに前後する周期を示す。このような概ね1日の内因性周期を概日リズムといい、このリズムが外因性周期に依存しないが外因性周期へ同調化(entrainment)することにより、現象としての日周期性が生じる。
作業検査法

 被験者に対して一定の材料を与えて作業を課すことによって、その作業経過や結果の上から、パーソナリティ分析を試みるもの。
 代表的なものは、内田クレペリン精神検査、ベンダー・ゲシュタルト・テストなど。

 長所 … 施行方法が容易であり集団での実施が可能なこと。非言語的課題が使用され、必ずしも言語能力を必要としないこと。被験者の意図的操作が入りにくい。

 短所 … 限られた課題や統制された場面のもとで行われることか、パーソナリティ特性の一断面を測定しているに過ぎない、作業課題に対する意欲の有無が検査の結果に影響する、結果からの解釈に熟練を要する。

サンドウィッチ症候群 - Sandwiches syndrome -

主に中間管理職に起こる鬱病。上司と部下の板ばさみになることが精神的なストレスとなって起こることから、こう呼ばれる。
自殺 - Suicide -

その行動が死をもたらすという現実を予想する能力を持ったものが自らの意思にもとずいて死を求め、自己の生命を絶つ目的を持った行動をとることと定義される。しかし実際には自殺か事故死か判断の困難な事例も多い。近年の日本の自殺者は年間二万人を超え、自殺率は人口10万人あたり17前後であるが、未遂は既遂の8倍くらいと見られている。日本の自殺率は世界的に見て特に高率という事はなく、また男性が多いことも同様であるが、女性の自殺率が高く男女差が少ない事、心中特に母子心中という形が多いのが特徴。
嫉妬 - Jealousy -

象徴界
ラカンが導入した想像的なもの、象徴的なもの、現実的なものの3項のうち, シニフィアン(意味するもの)ーシニフィエ(意味されるもの)の 言語活動を支えるのが象徴的なもの,象徴界である。

主体
ラカン理論の出発は、自我が鏡の中の像として初めてとらえられるという 鏡像理論だが,後には主体は別のシニフィアンに表象されて抹消される べきもの,とまで述べられる。

ラカン
フランスの精神分析学者。「無意識は一つの言語として構造化されている」 というテーゼにより構造主義の四天王の1人ともいわれる。

シェイピング - Shaping -

オペラント技法の一つであり、一定の目的行動(標的行動)に至るまでの行動を段階的にスモール・ステップの形で設定し、順次これを遂行させて最終的に目的行動を獲得させること。
ジェームズ=ランゲ説

 人が一定の刺激を受けると、反射的に身体的変化が生じ、この変化がもたらすものが情緒とよばれるものであるとする説。つまり、悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいという逆説的な考え方。
 しかし後の研究では、刺激の知覚の次にくるのは、常識的な情緒の意識という場合もあれば身体・意識両者同時という場合もあり、現在ではジェームズ=ランゲ説は支持されている訳ではない。しかし、情緒における身体的表出の役割を指摘した点に、歴史的意義が認められる。この説に対する修正意見としては、中枢神経系の働きを重視したキャノン=バード説があり、その後、生理学の発展とともに改訂されている。

自我同一性

・エリクソンの自我同一性概念の特徴
1)過去、現在、そして将来に渡り自己は一貫し、不変であるという確信がもてること
2)自分の理解する自分の姿は他者からも同じように認められ「自分は他でもない、この自分自身である」と思えること
3)こういったことが頭による理解ではなく感覚としてわかること(自分がどこへいこうとしているのかわかっているという感覚)
の3点である。

・エリクソンが提唱した精神分析的人格理論の概念であり、同一性と邦訳される。主体性、独自性、過去からの連続性、及び集団帰属感や社会的受容感などの主観的実存的意識や感覚の総体。

自己愛人格

空想あるいは行動の誇大性、賞賛されたいという欲求、共感の欠如が広範囲にわたって見られる人格様式で、成人期早期に始まりさまざまな状況であきらかになる。

 自己心理学を唱えたコフートは,自己愛人格を正常な自己愛発達における自己の発達停止としてとらえた。情動的に自己の延長として体験される対象を自己対象(self-object)と呼び、乳児期においては、自己対象としての母親や父親あるいはその代理者が子どもに共感的にかかわることが自己の発達に不可欠であると考えた。この自己対象は、子どもの自己を誇大的・顕示的に映し出す鏡映機能と自己愛的対象として理想化される機能をもち、通常の発達では主として前者を母親、後者を父親が受け持ち,共感的対応を通じて子どもの健康な自己愛を発達させ自己の確立を促進する。しかし自己対象による共感の失敗や共感不全は、自己愛の傷つきやすさを引き起こし、子どもは自己誇大感や理想的自己像を喪失する苦痛から自己を防衛するために、自己対象を生涯あくことなく希求するようになる。ここに自己愛人格の発達病理の起源があるとする。

自己一致

空想あるいは行動の誇大性、賞賛されたいという欲求、共感の欠如が広範囲にわたって見られる人格様式で、成人期早期に始まりさまざまな状況であきらかになる。

 自己心理学を唱えたコフートは,自己愛人格を正常な自己愛発達における自己の発達停止としてとらえた。情動的に自己の延長として体験される対象を自己対象(self-object)と呼び、乳児期においては、自己対象としての母親や父親あるいはその代理者が子どもに共感的にかかわることが自己の発達に不可欠であると考えた。この自己対象は、子どもの自己を誇大的・顕示的に映し出す鏡映機能と自己愛的対象として理想化される機能をもち、通常の発達では主として前者を母親、後者を父親が受け持ち,共感的対応を通じて子どもの健康な自己愛を発達させ自己の確立を促進する。しかし自己対象による共感の失敗や共感不全は、自己愛の傷つきやすさを引き起こし、子どもは自己誇大感や理想的自己像を喪失する苦痛から自己を防衛するために、自己対象を生涯あくことなく希求するようになる。ここに自己愛人格の発達病理の起源があるとする。

自己効力感 - self-efficacy -

バンデューラが提唱した概念。ある状況や課題に直面したときに自分がその事態をどの程度適切に遂行できるかの確信度のこと。
自己スキーマ - self-schema -

個人の社会的経験の一部となるような自己が関わる情報処理を行なう際に、その枠組みとなって働く、自己に関する一般化された知識のこと。マーカスによって提唱された仮説的構成概念。
思考伝播・思考奪取

思考伝播
自分の考えていることが,言いもしないのに人に伝わってしまうと感じること

思考奪取
自分の考えが他者から抜き取られてしまうと感じること

いずれも自我障害に基づく精神分裂病に特有の症状。

実現傾向

ロジャーズの人格、治療、理論の根幹をなす概念。それは「(人間という)有機体を維持し、強化する方向に全能力を発展させようとする、有機体に内在する傾向」、人を動かし成長させていく内的な力。
失見当識 - disorientation -

時間、場所、人物及び状況に関する認識能力のことで、例えば自分が誰であるか、今どんなときであるか、ここはどこであるか、というような最も日常ありふれた認識が障害されること。
失錯行為

いい間違いや度忘れなどに見られるように、最初の意図が達成されずに途中で意識しないうちに他の行為に取って代わられるもの。フロイトによれば、このような失錯行為は一つの意識的な意図がそれに対立する無意識的な意向によって妨害され、抑圧される結果、一種の妥協形成が生ずる。人間の日常行動に現れる何気ない失錯行為の観察から、その人の隠れた無意識的心理を知ることができる。
実存分析(ロゴセラピィ)

フランクルによって創始された心理療法。人間の本質を精神的実存に求め,そのあり方を分析する,というものである。後に実存分析に代わってロゴセラピィという用語が用いられるようになった。
疾病利得

症状の発症や維持によって患者に満足(利得)がもたらされること。精神分析では、身体症状は自我防衛を果たすと考えられている(一次的利得)。発症によって嫌悪事態を回避したり、周囲からいたわられることを二次的利得というが、社会的強化として説明できる。
社会心理学 - Social psychology -

社会環境の中におかれた個人の経験や行動を、その環境の諸条件や諸特性との関係に基づいて分析研究する学問。英語ではsocial psychology。1908年米国の社会学者E.A.ロスと英国の心理学者マクドゥーガルにより別々に体系的な理論が発表された。その後1920年初頭、メーデ等による組織的な実験法の採用や質問紙法・態度調査・ソシオメトリー等の技術の導入によって、客観的研究手続を具備した科学として大成された。特に米国では、リーダーシップ、世論、宣伝、偏見、態度の形成と変容、モラル、コミュニケーション、価値の葛藤等のテーマが活発にとりあげられている。
主観的輪郭

視覚の基本的な働きは、視覚に入った「形あるもの」をその「背景」から切り離し個々の物体に区分けしてゆくことである。この「形あるもの」をその「背景」から区別する境界線を輪郭線という。物体の輪郭線は、網膜像の中の物理的な不連続点(物体と背景との色や明るさの差)によって決められる。しかし、このような物理的な輪郭が存在しないにもかかわらず主観的な輪郭が形成され知覚された形を主観的輪郭(subjective contour)という。この輪郭線形成を規定する要因は、全体をより安定したより単純な図形へと変えるような完結を要求する知覚システムが存在することであり、ここにプレグナンツの原理やゲシュタルトの機能が働いていることが考えられる。
主題統覚検査 - Thematic Apperception Test;TAT -

マレーの欲求−圧力(need-press)理論にもとづき、人がもつ欲求という内的な力と、それに対して加えられる環境からの圧力との力動関係からパーソナリティをとらえようとするもので、投映法の一つ。刺激としては、人物を含むあいまいな状況の絵が用いられ、被験者はその絵について空想的な物語を作るよう求められる。この物語から、絵の中の主人公の欲求、行動、感動状態、主人公に及ぼす外的な圧力、欲求の解決の仕方などを分析し、被験者の欲求、葛藤、コンプレックスなどを明らかにしていく。
焦点づけ - Focusing -

E. T. Gendlin が提唱した概念。心理療法、カウンセリングの過程においてクライエントに生起する感情の流れ、すなわち体験過程について、クライエント自身がそれを意識化し、意味を捉えていく心的過程のこと。
自分恋愛 - Oneself love -

内省型
特にはっきりした幻覚や妄想を持たず診断が問題となる分裂病者で、 自分の内面について鋭く描写する傾向を持つ人についてこの名で呼ばれる。

ナルシシズム
理想化された自己の像に対する愛情。完全に自己充足的なわけではなく、 鏡の中の像を通して初めて成立することをラカンが明らかにした。

常同症 - Stereopathy -

ここの動作、身振り、姿勢、言葉などが同じパターンで一定時間以上くり返される場合をいう。これが病的な行動異常となったものを常同症とよぶ。

常同姿勢 … 一度とった姿勢をいつまでも続ける
常同運動 … ある特定の運動を無目的に反復する
常同言語 … 一見無意味な特定の単語や語句を持続的に反復していう常同言語

精神分裂病、その中でも特に緊張病や陳旧性分裂病によく見られるが、そのほか痴呆症、重度精神遅滞、自閉症、視覚障害児、施設入所児などにも現れやすい。重度精神遅滞等によく見られる常同運動には、身体を前後左右に揺らしたり、目を指で突いたり、頭を壁に打ち付けたり、手をひらひらさせるなどの行動が多い。刺激の乏しい状況で起こりやすいとされるが、原因は明らかではない。

治療 … 分裂病では薬物療法が用いられるが、その他の例ではオペラント条件付けなどが試みられている。

情動調律

Stern,D.N.の自己感の発達理論で提唱された概念で、母子関係発達論において、母親と乳児との間の心的経験の主観的共有を基盤として、母親が乳児の意図や情動を自分の願う心的・情動的状態へ持っていくように働きかけ、また乳児も自分の情動的状態を母親の情動的状態と対応させて、両者の間で主観的な一体感・共有世界が出来上がるという現象。
自律訓練法

シュルツが創始した注意の集中、自己暗示の練習により、全身の緊張を解き、心身の状態を自分でうまく調整できるようになるように工夫された段階的訓練法のこと。
事例研究 - Case Study -

ある個人に関する多面的にわたる資料を収集し、その資料を統合的に検討し、まとめる方法。個人の問題行動を理解し、その実験的処置法を見出すことを大きな目的としている点で、実験的研究・統計的研究とは異なるが、いくつもの事例を集めて一般化を目的とすることもある。

事例研究が心理学において重要とされる理由
1)患者の救済を目的としている場合が多い
2)対象となる事例には多数の変数が関連し、どの変数が特に重要かが分かりにくい
3)臨床的事態では実験的操作が不可能な場合が多い
4)実験的操作によって事例が断片化され,本質的な情報が失われる可能性がある
5)個々の事例の特殊性
6)倫理的な問題など

しかし事例研究を行なう際には、主観性・偶然性の入りこむ余地があるので、十分な配慮が必要。

人格障害 - Personality disorder -

人格がゆがむ病気のこと。時代や社会状況によってその定義は変わり、現在でも分類、原因、治療法などで多くの仮説があるが、アメリカ精神医学会の分類では主に次のような種類がある。

(1)妄想性人格者
他人の悪意のないささいな、あるいは親切でさえある行為の裏に、敵意と悪意があると感じる。仲間と違う肉体的欠陥やハンディキャップ、慢性聴覚障害を持つ人に起こりやすい。自分の障害のために、現実的に物事を検討する能力が低下して、人に嘲笑されていると誤解するということが起こりがちである。

(2)演技性(ヒステリー性)人格者
他人からの尊敬と賛美を手に入れるため、注目を集めるような芝居がかった態度を示し、行動に一貫性がない。表面的な人間関係は簡単につくれるが、感情的に深い関係を築くことはまれで、多くの人々と乱交することがある。

(3)自己愛性人格者
自分の重要性を過大評価し、果てしない成功の空想にふけり、過度の自己理想化と卑下の間を激しく揺れ動いている。自己顕示によって他人の関心を引きつけようとし、押しつけがましく、他人を利用したりする。

(4)反社会性人格者
衝動的、無責任、不道徳な性格で、すぐに満足感を求める。他人と持続的で豊かな関係を築けないが、とても魅力的で口先がうまいことがあり、自分の目的のためにそうした資質をうまく利用する。欲求不満をあまり我慢できず、反対されると敵意や攻撃的態度をみせる。また、こうした反社会的な行為を他人のせいにして、後悔や罪の意識を持たない。

(5)境界性人格者
自己イメージ、気分、行動、対人関係を含む多くの面で不安定である。頻繁に気分が変わり、激しく怒ることもある。物事を極端なまでに白黒はっきりとさせ、中間がない。あいまいな身体的愁訴を訴えて来院することが多い。

(6)回避性人格者
人から拒絶されることを恐れ、対人関係を築くことをためらうが、他人に愛され、受け入れられることへの強い欲求がある。

(7)依存性人格者
生活の大部分を他人に依存し、彼らの欲求を自分よりも優先させる。自信と自発性がなく、一人でいることに強い不安を感じる。

(8)強迫性人格者
向上心旺盛だが、完璧主義で自分の実績に満足感をもてない。信頼できて頼りになり、几帳面な性格だが、慎重で多くの面から物事を考えるため優柔不断なこともある。障害が重篤でなければ、学術研究などの分野で高いレベルの業績をあげうるが、一方で孤立感や対人関係で悩むことも多い。

人格障害の原因は、両親の不和や愛情の欠如、孤独、いじめられた体験などが考えられている。治療は専門医によるカウンセリングが中心だが、向精神薬などで感情をコントロールすることが必要な場合もある。

心気症

ヒポコンドリーとも。神経症の一種。疲れやすく刺激に敏感で、自分の身体の健康状態について過剰な心配をする傾向があり、一般に異常体感、強迫観念、妄想などを呈する。
神経性食思不振症 - Anorexia Nervosa;略称AN -

 思春期の女性に多く見られる。極端なやせと無月経及び食行動異常を特徴とする病態。やせに関しては「標準体重の20%以上のやせ」が診断基準である。また食行動異常には、食欲不振というよりは、不食・拒食と表現するのが正確なものと、その他に隠れ食い、盗み食い、さらに多食・過食が見られる。そしてこのやせの症状が、試験の失敗やなんらかの精神的なショックを受けるなどの単なる心因反応による一時的なものではなく3ヶ月以上持続しているもの。
 ANの根本には、肥満嫌悪(やせ願望)がある。患者の持つボディ・イメージは歪んでおり、やせているのに太っていると思いこんだり、顔や大腿部など体の一部が太ることをひどく気にしたりする。特に太っているのを他人がどう思うかについて過敏。そして、やせている状態を維持しようとし、少しでも体重が増えることをひどく恐れ、やせ細った身体からは信じられないほどの過活動性を示す。ANのうちの多くは経過中に大食期になる。比較的短期間の大食期を経てそのまま治癒する例もあるが、中にはますます大食がひどくなり、その中に自ら嘔吐したり、下剤を乱用し、拒食と過食を繰り返すという症状を示すようになるものもある。これは神経性過食症(Bulimia nervosa;BN)と呼ばれている。

心的回転 - Mental Rotation -

 視覚心像の心的操作の一形態で、内的イメージを平面的もしくは立体的に回転させる操作のこと。
 シェパードとメッツラーは、回転角度を変えて描かれた2つのブロック図形が、同一かあるいは互いに鏡映像かを比較判断させる実験を行なった。その結果、判断に要する時間が回転角度に比例して増大することを見出し、心的イメージは物理的刺激に類似した性質をもち、それが一定の速度で操作されることを主張した。

シンデレラコンプレックス - Cinderella -

大人社会で責任を果たすことに恐怖感を持つ女性が、理想の王子様のような 男性に救われたい、と願望を持つこと。
信頼性 - Reliability -

同じ対象について測定を繰り返したときに、どれくらい安定した測定値が得られるかということ。
睡眠相遅延症候群

内部時計
生物は環境のサイクルに体のリズムを同調させる時計メカニズムを 備えている。完全に体の自発性にまかせると、日周リズムは24時 間ではない。

睡眠相遅延症候群
概日(サーカディアン)リズムを環境サイクルになんとか同調させようとはするが、 位相が正常者に比べて著しく後退している。俗にいう宵っぱりの朝寝坊,が近い。

ガイア
地球の無生物と生物が,一つの大きな制御系として恒常性を保つという ホーリスティックな学説。ラヴロックが名付けた。

スクイッグル法 - Squiggle Method -

D.W.Winnicottが開発した相互なぐり書き法と訳される描画法。方法はサインペンでサーバーが適当な大きさの用紙にぐるぐる書きの描線を示し、それが何に見えるかを問い、レシーバーは何か描線を加えて、見えたものを完成させる。ついで、サーバーとレシーバーが交替し、同じことをする。これを数回繰り返すというものである。特に小児の心理療法において力を発揮することが多い。
ステレオタイプ - stereotype:すてれおたいぷ -

あるカテゴリー集団について抱かれている固定化されたイメージ
しばしばステレオタイプにそって印象形成が歪む

ストーカー - Stalker -

ある特定の人物に執着して、拒否されても、その現実を受け止められない。男女間だけでなく、同性でも自分と相手の境目がわからなくなり、追いかけ、執着することがある。妄想が入るケースが多い。この状態にある人物のこと。
ストレス - Stress -

何らかの刺激(ストレッサー)によって生体に生じる生理的なひずみとこれに対する非特異的な生体の反応をいう。寒冷、暑熱、薬品、炎症、感染、疲労、不安などさまざまな刺激がストレッサーになり得る。カナダのH.セリエ〔1907-1982〕はストレッサーに対する生体の反応は脳下垂体前葉―副腎皮質の内分泌系によるとし、警告反応期、抵抗期、疲憊(hihai)期の3段階に分けた。彼のストレス説によると、ストレスは本来、外界に対する適応の一種だが、刺激に長くさらされると生体は抵抗性を失って(疲憊期)逆に病的な現象を生じ、ある種の心臓血管系、腎臓、関節などの疾患をひき起こす。現在は、多くの心身症の重要な原因の一つと考えられている。
精神医学 - Psychiatry -

精神疾患、すなわち精神の障害を対象とする医学の一分野。従来は狭義の精神病を対象としたため精神病学といわれたが、今日では広く精神障害全般を科学的に研究し、その原因、診断、治療、予防などを追及するもので、心理学、社会学とも境を接し、研究内容によって、精神病理学、脳病理学、神経心理学、遺伝学、脳生化学、分子生物学、児童精神医学、青春期精神医学、老年精神医学、力動精神医学、精神保健、社会精神医学、司法精神医学、比較文化精神医学、精神薬理学、精神生理学などの領域がある。精神医学(Psychiatrie)という言葉はJ.C.Reilが1808年にはじめて使用したといわれる。
精神分析学 - Psychoanalysis -

オーストリアの神経学者フロイトのによって構築された理論体系。初めは神経症の治療のために出来あがっていたが、後にはそれを包含し、治療論・人格論・発達論・性理論・無意識論・自我論・芸術論といったひとつの専門分野になっていった。
精神分裂病 - Schizophrenia -

精神分裂病はブロイラーによって提唱されたもので、思春期・青年期に好発し、原因が不明の代表的な精神病で、人格・思考・行動・興味感心・対人関係などに障害をきたす疾患。

 陽性症状 … 幻覚(主に幻聴)、妄想などが主なもの
 陰性症状 … 無為、自閉、感情鈍麻、自発性の低下等、人格の荒廃に伴う症状として理解できるもの。

性別化のしつけ(性による型づけ) - Sex-typing -

子どもをその性別によって異なった方法で扱うこと。両性にふさわしい行動様式である性役割基準は、この過程をとおして成長しつつある子どもに植え付けられていく。
生理的早産

 ポルトルマンは、哺乳動物の出生時の発育状態の特徴を様々な観点から明らかにし、その状態により大きく「巣に座っているもの」(就巣性)と「巣立つもの」(離巣性)とに分けている。人間は、長い妊娠期間をもち、一胎ごとの子の数が少ないという点、また出生時から感覚器官がかなり成熟しているという点では離巣性の特徴を備えている。しかし、自分の脳重量を支えるのに3,4ヶ月、自力で歩きはじめるまでにおよそ1年の歳月を要するほど運動能力は未熟で親なしではいきられないという点では就巣性の特徴をもちあわせている。ポルトルマンは、人間がもつこの特質を「二次的就巣性」と呼び、人間は生後1年たってようやく高等哺乳類が生まれたときに実現しているはずの発育状態にたどりつくことを強調した。
前操作的思考 - Preoperational Thought -

 操作的思考が現れる前の準備段階の思考。心像や言葉などの表象を使用した表象的思考が可能ではあるが、その思考には首尾一貫した論理的枠組がまだない思考。

 特徴
1)自己中心的で,異なる視点から物事を考えることができない。
2)非可逆的である。
3)全体と部分の認知は可能だが、全体構造の中での思考が不可能であるため、思考が見えによって影響される、など。

ピアジェはこの段階をさらに
1)前概念的思考段階 (2〜4歳)
2)直観的思考段階 (4〜7,8歳)
の2つに分けた。

せん妄 - Delirium -

意識障害の一種。軽度の意識混濁と興奮傾向や錯覚、比較的活発な幻覚妄想の出現があり、それによる不安などの情動変化や奇異な言動がある。熱性せん妄(発熱時)、振戦せん妄(アルコール症の離脱期)や夜間せん妄(主に脳動脈硬化症や老年痴呆)があるが、その他の中毒、代謝障害、感染症などでも出現する。職業や日常習慣に関係がある言動をする場合を作業せん妄と呼ぶ。
相互独立的自己観

個人の自己を他者から独立の主体として見ること。

相互協調的自己観

他者との相互関係の中に個人の存在を見ること。

躁的防衛 - Manic Defense -

 クラインが抽出した。乳児が自分の攻撃性を外界に投影せずに自分自身のものとして認めることができるようになってくることにともなって、その攻撃性が自分にとって大切な良い対象を破壊してしまうのではないか、すでに破壊してしまったのではないかという不安に対する防衛機制のこと。こうした不安は罪悪感や喪失感をともなうので、こうした不安に対する防衛として躁的防衛が生じる。躁的防衛にともなう感情は、対象に対する支配感、征服感、軽蔑である。
相貌的知覚

主観的事物のうち、とりわけ感情や欲求が、客観的事物の中に混ざり合うとき、例えば壁のしみが人の顔として見えるように、事物に表情を知覚すること。
ソシオグラム - sociogram -

ソシオメトリーのテストの結果を客観的に記述する方法として、人間関係あるいは集団構造を図表で表示したもの。一般に牽引は実線、反発は点線、個人は円で表され、個人や集団の型が視覚的に判断できるところに利点がある。
ソシオメトリー - sociometry -

社会測定法。社会学で、モレノとその学派によって体系づけられた、小集団の人間関係に関する分析および測定理論をいう。人間関係や集団を人間間の牽引と反発の力学的体系としてとらえ、その頻度ひんどや強度をダイヤグラムに表したり、諸指標に従って測定したりする。