バイオリズム - biorhythm;biological rhythm -

生体リズム。行動、体温、ホルモン分泌などの多くの生命活動がある周期で変動している現象。 概日リズムが最もよく知られている。
バウムテスト - [独] Bumtest -

K.Kochが開発した樹木描画テスト。画用紙に描かれた樹木画は所与の環境の中で生きる被検者の投影であるという前提のもとに、筆跡解釈論と空間象徴理論により解釈を行うことにしているが、不確定要素がかなり多い。被検者が描いた1本の「実のなる木」について、まず形態分析により発達水準分析を行い、さらに空間象徴の分析がなされる。
白昼夢 - Daydream -

満足の快感を得られる表象を幻想の中で再生したい,という快感原則は、 空想の産物である白昼夢の中で最もよく満たされる。
箱庭療法 - Miniature garden treatment -

1平方メートル弱の箱に玩具、ミニチュアなどを並べて自由に作品を作らせる 心理療法。カルフ女史がユング理論に基づいて発展させた。

ユング
スイスの精神医学者。人間には個人的無意識のほかに人類に共通の 普遍的無意識があり、元型という共通の心象がその中に存在するとした。

深層心理学
無意識の存在を重視する心理学。ユングはフロイトから決別した後、 自らの方法を特に分析的心理学とよんだ。

発達段階説 - Developmental Phase Theory -

 個体の発達過程が、連続的でなだらかな量的変化だけではなく、各機能の特徴やその関連の仕方、すなわち構造の質的で非連続的な変化を表すものであると考える時、相互に異質で独自の構造を持つとされる一定の区分された時期を発達段階(developmental phase)という。
 発達段階を設定する理論は、漸成説(後成説)の発達論に基づく。つまり発達とは累積加算的変化ではなく、構造が再体制化される、ないしは新しい構造に転換してゆく質的変化過程であると考えるのである。しかも、段階を進むペースや最終到達段階には遺伝や環境による個体差があるにしても、発達順序は必然的に定まっており、段階も普遍的なものとしている。

発達の最近領域 - Zone Of Proximal Development -

 ヴィゴツキーは、子どもの知的発達を2つの水準に分けて考えることを提唱した。
 1つは、他者の援助なしに、自力で遂行可能な現在の発達の水準であり、もう1つは、大人や仲間の援助によって問題解決が可能になる、発達の最近領域というものである。
 個々人の発達状況は、現在の発達水準だけで決定されるのではなく、発達の最近領域を考慮しなければならない。また、教育の可能性は、発達の最近領域によって決定され、教育は現在の発達水準だけではなく、発達の最近領域に基づいて行なわなければならないとする彼の主張は、発達をうながす教育の役割を協調する教育観といえる。

バーンアウト

 フロイデンバーガーによってはじめて指摘された心身の症候群のこと。今まで第一線で全力を尽くして働いていた人が心身ともにつかれ果てて、うつ状態に陥り、突然、無気力になってしまうことを指す。
パニック障害 - Panic Attack -

思い当たる原因はないが、突発的に強い不安や動悸、めまい、呼吸困難など、多くの身体的・精神的な発作に襲われ、死の恐怖や自分自身をコントロールできない症状を起こすこと。

アメリカ精神医学会の診断・統計マニュアル(DSM-IV)では、こうした発作のうち4つ以上の症状が10分間続けて起こる場合、と定義されている。

患者は75〜100人に1人といわれるが、強迫神経症や不安神経症と似た症状もみられるため、医師によってはこれらの病気と診断するケースもある。

最近では、脳の画像診断の技術が進歩したため、パニック障害の原因は神経系の機能異常であることもわかってきた。

治療は薬物療法が中心だが、なかなか治らない場合は行動療法も行われる。

米国のパニック障害研究所(The Panic Disorder Institute)によると、パニック障害によって脳卒中、心臓発作、高血圧などを発症するリスクが高くなり、患者の3分の2は重症な鬱病を抱えている。また、いつ発作が起こるかわからないため、フルタイムで働いている患者は半数に過ぎず、日常生活に支障をきたしているケースも多い。

パノラマ現象

以前の体験や生活の場面が,時間的な順序通りに次々に心に浮かんでくる 現象。いわゆる”走馬灯のように”ということ。
ピーターパン症候群 - PeterPan -

ピーターパンのように大人社会への参加に踏み切れないでいる男性の症候群。無責任、不安、孤独感、性役割の葛藤がその特徴である。
パラノイア / 偏執病 - Paranoia -

古くは偏執狂と呼ばれ雑多な疾患を含んでいた。
妄想を主徴とする精神病。情動・意志面の障害は少ない。
多様な定義があり、E.Kraepelin は、内因性に発病し、分別が完全に保たれながら、慢性的な妄想体系が徐々に形成される疾患と定義した。そのほか精神分裂病や躁鬱病との関係がいわれることもある。

偏執狂(モノマニア)/偏狂
一つの物事にだけ異常な執着を示す精神症状。

パレイドリア / 変像(症) - Pareidolia -

雲が大入道に見えたり、壁のシミが人の顔に見えたりする錯覚の一種。実際にはそれらが雲やシミであるという批判力を持ちながらも、対象が実際のものとは違って知覚されることをいう。情動や連合過程からは説明されず、意志に反して現れる現実の知覚の変形である。熱性疾患やせん妄に際して体験されることが多い。
汎適応症候群 - General Adaptation Syndrome -

 セリエによって提唱された概念で、慢性のストレスによって引き起こされた身体のあらゆる非特異的反応、生理学的反応のこと。 これは時間と共に以下の3相を経て進行する。 1)警告反応期(stage of reaction):準備 2)抵抗期(stage of resistance):抵抗力が正常時を上回って増加し、維持 3)疲憊(ひはい)期(stage of exhaustion):適応障害
心的外傷後ストレス障害(外傷後ストレス障害) - Post-Traumatic Stress Disorder;PTSD -

 本人もしくは近親者の生命や身体保全に対する重大な脅威となる心的外傷的な出来事に巻き込まれた後、直後の急性反応としてではなく、遅滞反応として1〜2週間から数ヶ月経過した後に起こるものでことにより生じるもの。
 典型的症状としては、外傷体験が反復的かつ侵入的に想起され、あたかも過去の外傷的な出来事が目の前で起こっているかのような苦痛に満ちた情動を伴う錯覚(解離性フラッシュバック)、睡眠障害、外傷を体験するまでにはなかった反応性麻痺性、事故と関係のあるような状況の回避、またはそれを想起することの回避、自律神経系の興奮や過覚醒などの症状。

ヒステリー - Hysterics -

神経症の一種。多種多様な心身症状がある。痛覚鈍麻、視野狭窄(視野欠損)等の知覚障害や、痙攣、麻痺等の運動障害もみられ、意識不明になって倒れる転換症状と、ヒステリー健忘や朦朧状態、昏迷が起こる解離症状が現れる。治療は環境の調整、暗示療法、抗不安薬などの薬物療法、精神分析療法による。
描画療法 - Drawing Therapy -

芸術療法の中でも患者が絵を描くことによって治療をすること。広く使われることの多い精神療法。

課題画と自由画、集団法と個別法に大別できる。また風景構成法などの様に検査と治療両方に使えるものもある。

患者と治療者のラポールを第一に考え、患者の感情の流れるままにそれに寄り添うようにしなければならない。そして、そこで描かれる絵に対して解釈することも大切ではあるが、それ以上に患者と共にその作品を味わうことのほうが大切なことである。

平等に漂う注意 - Evenly suspended attention , Free-floating attention -

フロイトが精神分析療法で行われる自由連想法において、治療者のとるべき基本的態度として用いた概念。

標準的な精神分析療法
患者はカウチに横になり、頭に浮かんでくる事柄について自由連想して行くが、その際に治療者は、患者の連想に耳を傾けつつ、その全体の雰囲気や様子に「平等に漂う注意」を向けつつ、その無意識を探求する。フロイトは、特定の事柄に特別な注意を向けることを禁じて、聞き取られる一切の事柄に関心を向けるように主張した。これを怠ると、話題として提供された特定の材料を、治療者が主観的に選択してしまうと言い、これを行ってはならないこととした。

敏感関係妄想 - Sensitive relation illusion -

対人関係に敏感な性格の人が、ある状況において、何でもない他人の表情や言動をすべて自分に結びつけて考えてしまうという症候。「あれは自分に対して言ってるに違いない。」など。
フェルト・センス - Felt sennse -

意味を含んだ身体感覚。フォーカシングの鍵概念で、E.T.Gendlinの造語。日常生活や人生と関連のある身体感覚。

「何か軽い」と感じたら書類を忘れてきていたりすることに気付くように、日常生活で起きているどんなことでもフェルト・センスを引き起こす。しかし、それは漠然としたり、あいまいなため見逃されてしまう。フェルト・センスに適切に関わると、その意味や情報が明確になることでフェルト・センスそのものが開放され、変化する。

フェティシズム - Fetishism -

人間ではない物質、あるいは身体の一部に愛着を示す行為。フロイトはこれを去勢不安の考えから説明した。

・去勢不安
 母親にこれ以上、関心を持つと去勢の罰を受けるかもしれない、と不安を持つこと。エディプス・コンプレックスの一部を成し、後の精神生活にも重要な意味を持つ。

フォークロジャー - Foreclisure -

本来は法律用語で、抵当権の受戻権喪失、つまりは抵当流れのこと。
J.E,Marciaが心理学用語として採用し、本来は自分にふさわしい思想、価値観、役割など主体的に求めるべきなのに、それを早期に放棄して、権威者の説を鵜呑みにして自分の固定的な信念にしてしまう傾向を意味する。

輻輳説 - Convergence Theory -

 シュテルンが唱えた説。人間の精神発達は、単に内的可能性が発現するだけでもなく、また環境の影響を受け入れ、反応するという消極的なものでもなく、人と外界の積極的な相互作用、すなわち輻輳の結果であるという考え。
不思議の国のアリス症候群 - Alice's Adventure in Wonderland -

偏頭痛と共に身体の一部が大きくなったり小さくなったり,時間の進み具合 がおかしくなったりする症候群。成立のメカニズムは不明。
フラッシュバック - flashback -

過去の出来事をあたかも再体験するように想起することをさす。薬物依存から脱した後に生じる場合が 知られているが、近年、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状の1つとして注目されている。過去の出来事を 過去のこととしてでなく、現在進行中の出来事のように感じることや、普通に想起する場合とは異なって、 急に想起されることに特徴がある。
フラッディング - Flooding -

恐怖の対象にいきなり直面させ、十分に恐怖およびそれにともなう反応を体験させると同時に実際には何も危険な事態が生じないことを体験させることで恐怖症を治療する一義法。

方法
・いきなり実際に恐怖対称と直面させ、積極的に恐怖対象とそれによって引き起こされる自分の症状を、できるだけ客観的、理性的に観察させる。
・恐怖対称をできるだけリアルにイメージさせ、恐怖によって引き起こされるであろう自分の症状や言動を次々にイメージさせる方法。
・自分の症状がさらに悪化した状態をイメージさせそのような反応を起こすことをユーモラスにとらえさせようとする方法など。

プロトタイプ - prototype:ぷろとたいぷ -

印象形成場面では、人物に関して得られた一連の情報からそれらを包括するような基準概念(外向・内向など)を抽出し、人物の典型像(プロトタイプ)と照らし合わせる。
キャンター&ミッシェル

分裂(スプリッティング)

特に自己の良い側面と悪い側面を、心の中に別々の存在として認知すること。 境界例の基本的な防衛機制とも考えられる。
閉鎖系心理学 - Closed system Psychology -

援助関係の中で、明確な目標と緻密な計画を持ち、刺激―反応原理または因果関係が不動のものとして存在する心理学のこと。例えば行動療法や認知療法などがある。
防衛機制 - defense machanisms -

 フロイトによって提唱された精神分析における概念の一つで、それを意識化することによって、危険、不安、不快、苦痛、恥などを引き起こすような欲求や葛藤を意識化しないように、無意識化して防衛しようとする心理的作用。防衛機制には退行、抑圧、反動形成、隔離、投影、合理化などがあげられる。
補瀉(ほしゃ)

東洋医学では病気を生体の虚実としてとらえ、正気の不足した虚の状態を補い、邪気が実しているところを取り去り、全体のバランスを取ろうとする。基本的には心理療法の考え方と同じである。
ホメオスタシス - defense machanisms -

 要求には,生来的に備わっている基本的要求(一次的要求)と社会生活の中から生まれた社会的要求(二次的要求)とがある。どのような要求が基本的とみなされるかは問題だが、一般には、生理的不均衡下で生じる生命維持や種の保存のための要求に基づくものを基本的要求としている。
 ホメオスタシスとはキャノンが提唱した概念で,生理状態を常にほぼ一定の状態に保っておこうとする生活体の調節機構のこと。このホメオスタシスが基本的要求の基礎になっていると考えられる。すなわち、生理的均衡が体内の調整だけで保たれなくなると、生活体はホメオスタシスの機構に基づき、外部環境から補給、ないしは排泄することによって均衡を復元しようとし、それが基本的要求となるのである。
 ホメオスタシスの例としては、ねずみの食物選択に関するカフェテリア実験が知られている。

本能 - instinct -

一般に行動や動機付けの生得性のことであり、古くから心理学や生物学の一大テーマであるが、その解釈には議論が多い。