あなたは、「パントマイム」って知っていますか?顔を白塗りにしたピエロが、手の動作ひとつであたかもそこに壁があるかのように演技してみせるのを見たことがある人もいるでしょう。あれがパントマイムです。マイケル・ジャクソンのムーンウォークもパントマイムの動きを取り入れたものです。
マルセル・マルソーさんは、このパントマイムを芸術の域にまで高め、「パントマイムの神様」と呼ばれている人です。
パントマイムの歴史はとても古く、ギリシャ時代から行われていたといわれています。しかし時代の変化とともに次第に衰退し、20世紀の初めには忘れられた存在となってしまいました。これを劇的に変えたのが、マルソーさんの登場でした。
マルソーさんは、「目に見えないものを見えるようにする」というパントマイムの特徴に強い興味を覚え、1940年代からフランスで修行を積みました。そして、単なる見世物ではなく、人生や精神を浮き彫りにする独特の哲学的な舞台を確立しました。1949年には世界初のパントマイム劇団を結成、世界中をツアーして喝采を浴び、以後50年にわたって世界各国の舞台で活躍を続けています。
私たちはふだん、なんでも言葉で表現してしまうことに慣れすぎていて、身体による表現を忘れていることが少なくありません。言葉や道具を一切使わずに、何もない舞台の上ですべての事柄を身振りや表情だけで表現していく「パントマイム」という芸術を通して、自分の体のなかにある可能性に気づく旅に出かけませんか? |