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ディナ・シーはアイルランドに住んでいる。 人間の姿をした非常に高貴な妖精。身長は、20〜30センチくらいだが、人間と同じくらいの大きさにもなれる。 宮廷で暮らす王族や貴族のようで、それ以外の多くは騎士のような格好をしている。 ディナ・シーは妖精の国をつくって王を中心にして暮らしている。 決闘、狩猟、音楽、踊り等を好み、彼らの騎馬行列は「妖精の騎馬行(フェアリ・ライド)」と呼ばれ、しばしば目撃される。 |
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妖精が人間の子供(さらには、その母親)を盗むこと。自分の子供と人間の子供を取り替えることをいう。 子供を盗んだ後に、子供に似せたストック(木偶)にまやかしの術をかけて置いていくので、生命が宿っているように見えるが、すぐに衰えてしまう。だが、その木偶は人間の手で、人間の赤ん坊並みの弔いをしてやるという。 また、自分の育たない子供、もしくは、用済みになって年老いたしわくちゃの老人などを置いていくこともある。 自分の子供が取り替えられた時には、自分の子供を取り返す方法がある。 麦の束を三つ持って妖精丘に行き、それを一つづつ燃やしながら、赤ん坊を返さなければ丘に生えているものを全て燃やしてやると脅せば良いのだ。 もう一つの方法として、自分の子供が取り替えられたと思ったら、その子を痛めつけたり、捨てたりして、妖精の両親が自分の子供を取り返しにくるようにすればいい。だが、この方法は勘違いで妖精の子供と思われた人間の赤ん坊には悲惨なことである。障害があったり、未熟児が生まれた場合は、取り替えられたとされ、両親は、捨てたり焼いたりすることを勧められたという。また、自分の子供を捨てるための方便に利用した者もいたかもしれない。 取替え子が年老いている場合は、2ダースほどの卵の殻を用意して、暖炉の上に載せて、酒をつくるふりをすればよい。それを見ていた取替え子が「わしは長いこと生きてきたが、卵の殻で酒をつくるなんて初めて見た」と叫ぶので、その妖精を暖炉の中に投げ込めば、金切り声を上げて煙突から飛び出して、本当の我が家に帰っていくという。この方法は、広い地域で行なっているのにも関わらず、妖精がそれを全く知らないというのは理解できないことだ。だが、この方法でも、我が子が返されないこともあって、その時は自分で妖精丘まで行って、救い出さなければならない。 妖精が人間の子供を盗む理由は、貢物にするためか、妖精族の補強のためか、子供の可愛さが気に入ったかのいずれかである。年配者が盗まれた場合は、その者が持つ資質のせいである。 |
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トロウは、スカンジナビア北方の海に浮かぶシェトランド諸島に住んでいるという。 姿は人間に似ているが、背丈は大変に低い。いつも灰緑色の服を着ており、草の生えた丘の下の豪華な宮殿に住んでいる。そして、その宮殿は何から何まで黄金で飾られている。 宮殿に出入りできるのは太陽が出ていない時だけで、一方から入り、その反対側からでる。 トロウは日が暮れてから現われて、夜明け前に戻らなければならず、もし夜明け前に戻ることができなければ、あたりをうろうろさ迷い歩いて、隠れる場所を探さなければならなくなる。 そして、夜に出て来たトロウは人間にとってかなり迷惑な存在となる。 農家の牛小屋の中に忍び込みこっそり牝牛の乳をしぼる。音楽や宴会が好きだがそのための牛や羊を盗む。自分の子供と人間の子供を取り替えるなどのことをする。 トロウが人間に見つかった場合、相手を睨みつけながらじりじりと後ずさりしながら去っていく。また、人間の方がトロウから目を離さなければトロウは身体が痺れて動けなくなる、と言った特徴をもっているが、トロウを見ることは不吉なことで、それだけで災いがふりかかるという。その災いが子供に降りかかった場合は死ぬ危険があり、その子供を救う方法はただ1つ。健康な子供を持った9人の母親から3種類の食べ物を譲り受け、それをその子供に食べさせなければならない。 |
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ドワーフは、ヨーロッパ各地の地下や洞穴などに住み、鉱夫の仕事をしているという。 1メートルくらいの人間の姿をしていて、髪とひげが長く、見た目は醜い。緑や赤の三角帽子をかぶり、足が短くて腕が長いので、立っていても、地面に手が届くという。 鉱夫らしくカンテラとシャベルを持っていることもある。 呼び方については、英語ではドワーフ、北欧ではドヴェルグ、ドイツではツヴェルクなどがある。 多くのドワーフは洞穴の中で一生をくらし、人間に姿を見られることを極端に嫌い、見られた相手を殺したり、呪ったりする。彼らは夜に活動し、地上に出る場合は自分の姿を人間の目から隠すための魔法のマントや帽子を着用する。 北欧のドワーフは、ユミルの肉についた、うじ虫から生まれたという。 鍛冶師や細工師としては一流の腕を持ち、神々が持つ優れた武器のいくつかをつくっている。ロキが、フレイに贈ったとするグングニル、ミョルニル等がそうである。 また、日光に触れると石化して死ぬという性質ももっている。 |
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