バグベア - Bugbear -

バグベアはイギリスに住んでいる、子供を戒めるしつけのために考え出された妖精である。
遅くまで遊んでいる子供には「遅くまで遊んでいると、バグベアに食べられてしまうよ」といって、子供を脅すのだ。子供を脅すために考えられたものだから、各地で色々な名前がつけられている。タンケラボーガス、トムドッキン、トムポーカーなど。
彼らの姿は恐ろしければ、恐ろしいほどいいので、全身毛むくじゃらで、目が燃えるように赤く、鉄の牙で子供をむしゃむしゃ食べてしまうなどと言われる。
また、家の中で親の言うことを聞かない子供も、煙突から家に侵入して、むしゃむしゃ食べる者もいる。
バグベアは子供達が悪さをするなら、荒野や家の中、どこにでも現われるのだ。
しかし、子供は大人になるにつれ、しつけのために考え出されたこの妖精たちのことをわすれてしまう。この妖精は、子供達の間でだけ信じられているのだ。

ピクシー - Pixie,Pixy -

ピクシーは、イングランドの南西部、サマーセット、デヴォン、コーンウォール地方でよく見られる。
人間の手と同じくらいの大きさだが、人間と同じくらいの大きさにまでなることもできる。緑色の服を着て、赤い髪の毛、反り返った鼻、大きな口、やぶにらみの目を持っている。
ピクシーは岩の中に集団で、王を中心にして住んでいる。
歌や踊りも大好きで、輪になって踊った翌朝には、その場所に妖精の輪(フェアリー・リング)が出来ている。
いたずらをするが、人間にとって良いこともする気まぐれな性格をしている。
ピクシーを見るのには、頭の上に四葉のクローバーを載せればみえると言われる。もしくは”妖精の塗り薬(フェアリー・オイントメント)”を目に塗る。

フェノゼリー - Fenoderee -

フェノゼリーはマン島に住む身体の大きな力持ちの妖精。
身体は人間よりはるかに大きく、毛むくじゃらで醜く、怪力の持ち主で、その怪力で人間の仕事を夜の間に手伝ってくれる。泥炭を掘り出したり、農場の草を刈ったりしてくれる。仕事の速さはその怪力によって、人間が1日かかるところを1時間で終わらせるほどだ。そしてその報酬は、壷に一杯の食べ物で良い。もし、ブラウニーと同じように服でもプレゼントすれば悪態をついて家を出て行く。
また、フェノゼリーは自分の仕事にケチつけられるのを嫌い、ケチをつけた人間は大変に目にあう可能性がある。
ケチをつけた農場主をフェノゼリーが追いかけ、その時におかみさんがふるいを渡して水を汲んでくれとフェノゼリーに頼んだところ、フェノゼリーは川に行き、汲めないはずのたらいで水を汲もうと努力しつづけたので、逃げることができたという。
また、フェノゼリーは妖精種の名称ではなく、特定の1人の妖精名で、秋にある大きな妖精の祭りに、人間の娘に恋をしたフェノゼリーは無断欠席したせいで、妖精界から追放されたらしい。そのために、それから人間のために色々な仕事をして暮らすようになったのだ。

フォレ - Follet -

フォレは、フランスの素朴な田舎の家に住み着く、いたずら好きの妖精である。
トマス・カイトリーによれば、声は聞こえるが姿は見えないとしている。だが、ジョルジュ・サンドによればかなり特異な姿をしているようだ。
身長は大きくても30センチだが、全体的に鶏の雰囲気を持っている。鶏のような真っ赤なトサカがあり、目はギラギラして、蹴爪を持っている。さらに羽つきの尻尾、もしくはネズミの尻尾が生えているという。
家に住み着いて家の掃除をしたり、馬に餌をやったりと良いことをするが、それよりもいたずらする方が多い。
だが、荒地に住んでいるフォレの方がもっと性質が悪い。彼らは、メンヒルやドンメルと言った巨石遺跡の下に住んで地下の宝物を守っている。夜中に誰かが近づけば襲いかかり、旅人だったら道に迷わせ、馬に乗っていれば馬を暴れさせて、乗り手を振り落とさせるなどのことをする。
フォレが危険な妖精だとしても、フォレの頭の回転は遅いので、最後には人間にやりこめられてしまうことになる。

ブラウニー - Brownie -

ブラウニーはスコットランドやイングランドに住んでいる。昼間は木の洞や古城に住んでいて、夜、人家を訪れて、その住人が寝ている間に仕事を片付けてくれる。
身長は90センチくらいで、身体中に茶色の毛がもじゃもじゃと生えている。髪の毛もぼさぼさ、茶色のぼろぼろの服を着ている。鼻がなく、鼻孔だけが開いている種類もあるらしい。
ブラウニーは愛着を持った人家には長く住み着き、300年も住みつづけたブラウニーもいたらしい。
ブラウニーは単独で暮らし、ほとんどの仕事を一人でこなす。
住み着いた家の住人の誰か1人を気に入ることがあり、その場合は徹底的に尽くす。もしそれが娘であった場合は、コボルトとは逆に、その娘が結婚できるように手助けをする。
ブラウニーはデリケートなので、報酬をもらわないが、全然報酬を与えなければ気を悪くするので、明らかに報酬と解るような与え方ではなく、ブラウニーが偶然みつけたかのように、部屋の隅っこに置く等の工夫が必要である。その時の報酬は、コップ一杯のミルクかクリーム、蜂蜜の巣、上等の堅パンなどでよく、綺麗な服を着させてやろうと思って与えると、怒って二度と現われなくなる。
そして、キリスト教、洗礼の言葉、聖水が嫌いなのである。またブラウニーの仕事にケチをつけて気分を害しつづけると、不良化してボガートという性格の悪い別の妖精に堕落してしまう。

ボガート - Boggart -

ボガートはブラウニーが不良化したもので、イングランドのヨークシャー地方周辺の人家に住んでいるが、良いことは一切しない。
ブラウニーが堕落してボガートになると、鼻が長くなって尖りはじめる。
ボガートのいたずらは、騒音で人を困らせるポルターガイストという怪現象に似ている。
姿はまったく見せずに、食器をガチャガチャ言わせて粉々に砕いたり、バター付きのパンや粥の入った皿をひっくり返す。部屋の中の物を投げ飛ばす。外でも、畑をダメにしたりする。
ボガートのいたずらには際限がないので、ボガートの住み着いた家からは、ボガートに見つからないようにこっそりと家をでなければならなくなる。見つかったら、どこまでもついてくる。

ボゲードン - Buggane -

ボゲードンは、イギリスとアイルランドの間にあるマン島の山や渓谷に住んでいる。
姿は人間のようだが、全身が真っ黒な剛毛で覆われた、醜い巨人である。
変身する能力を持っていて、黒くて大きな子牛になることもある。
人間に危害を加えることが多い。女をさらって自分の住処に連れて行ったり、怠け者の主婦を滝の中に落としたりする。
教会の鐘の音が嫌いなので、自分の住処の近くに教会ができそうになるとそれを邪魔する。
ボゲードンは集団にはならず単独で生活しており、複数で発見されることはない。

ホビット - Hobbit -

ホビットは、J・R・R・トールキンによって創作された妖精で「ホビットの冒険」「指輪物語」の中で活躍する。
ホビットは人間に似ているが、身長は60〜120センチくらいしかない小人の妖精だが、120センチにもなるのは古い時代の者で、ほとんどは90センチを越えることはない。ドワーフよりも小さくて、ドワーフほどの頑丈さを持っているわけでもない。顔は丸く、髪の毛は茶色の巻き毛で、足の裏が皮のように硬くて髪の毛と同じ茶色の巻き毛が生えていて、靴をはかない。手の指は長くてとても器用だという。
小太りの割りには敏捷で、それはほとんど魔法のようにさえ見えるという。このため「忍びの者」と呼ばれる。
普段の生活では、非常に明るくて陽気である。彼らは他の妖精と同じくパーティーや歌や踊りが大好きで、中でも食べることが一番好きで、1日6回も食事をとる。
寿命は長くても133歳くらいで、33歳で成人と認められる。
住む場所は大地の中で、ウサギ穴のような穴を掘ってそこで暮らしているらしい。集団でくらしているが「政府」のようなものは持っていない。

ホブヤー - Hobyah -

ホブヤーはスコットランドに住んでいた妖精で、ゴブリンの一種だと思われるが、その姿は、黒いトカゲのような身体に白い手足があり、顔は魚のようで、2本足で歩く。
そして、夜になると民家に忍び込み、寝ている人間を食べてしまう恐ろしい習性を持っていて、犬を大の苦手としている。