3 〜1
マルセイユから乗った電車は長い。
距離ではなく、車両そのものがだ。
SGTやCPLらも含め、50人近い兵隊が高速で走る列車の中をぞろぞろと、席を求めて移動している。
志願兵達は背中にサッカドウ、手にも同じかサックマガンを持っており、とにかく動きづらい。
途中トンネルに入った、車内はものの見事に真っ暗闇となったが、先頭はお構い無しに進み続けた。
途中乗客が「ワーオ!」と冷かしてくる、それすらもお構いなしだ。
何両歩いたのだろう、向こうの車両は長い。結局無難な場所をSgtが目処を付けて、「すみませんが・・・」と他の乗客に声を掛けて
席を空けてもらっていた。
車両の角にサッカドウとサックマガンを積み上げ、我々は席に着く。
流れ行く景色はノルマンディーと同じ、永遠に田園。それ以外ない。
ふと気がつくと眠りに落ちていた、以後1か月分の。
気がつくと皆起きていた。というより気付かずに起こされてたのだろう。
田園からすぐ町並みに変わる、カステルノダリの駅に着いた。
ホームからは地下道で改札を出る、目の前にはすでにレジョンのバスが待っていた。
決して大きくは無い、(向こうでは)中型くらいのバスに皆荷物と共に乗り込むというより、押し込まれる。
カステルの町は大きくは無いが、田舎の質素感ある静かな町だ。
東にしばらく行くと一目で分かる駐屯地が見えてくる。
第4外人連隊だ。
ゲートには他の中隊のサービスがガードに就いていた、やはり白人・黒人と人種が混じっている。
我々は南西の3中隊の隊舎に着いた。「とっとと荷物を降ろせ!」SGTの怒鳴り声で皆せわしなく、焦るように動き回る。
ふと見上げると先発した面々がバルコンでニヤニヤしながら見下ろしている。
建屋に入る際、スペイン系のSGTが全員を壁に押し飛ばす。所謂”歓迎儀式”だ。
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